築40年のアパートはリフォームか建て替えか|オーナーが判断する5つの基準
結論からお伝えすると、築40年のアパートは「まず建物の骨格が残せるか」を確認し、そのうえで「今の家賃でこの先10年の収支が回るか」を計算してから決めます。築年数だけで建て替えを決める必要はありません。実際に、昭和築でも募集条件と内装を整えるだけで満室に戻った物件があります。
逆に、費用をかけても回収できない物件もあります。埼玉県・千葉県西部・栃木県南部で築古物件の管理をしている立場から、判断を分ける基準と考える順番を整理します。
リフォームと建て替えは何が違うのか
同じ「空室を埋める」ための手段ですが、かかる費用・空室になる期間・その後に残るものが大きく違います。
- 費用の規模:リフォームは1室あたり数十万円〜、建て替えは全体で数千万円規模になることが一般的です。物件の規模や状態で幅が大きく出ます
- 入居者への影響:リフォームは空室の部屋だけ進められます。建て替えは入居中の方に退去をお願いする話し合いが必要です
- 収入が止まる期間:リフォームは工事期間だけ。建て替えは解体から完成までその物件の収入がなくなります
- 残るもの:リフォームは既存の建物の寿命の範囲内での延命です。建て替えは新しい耐用年数が始まります
建て替えは、収入が止まる期間と大きな資金を引き受けて、その後の長い期間で取り戻す判断です。「そろそろ古いから」で動くと資金計画が苦しくなります。

リフォームで対応したほうがよい5つのケース
次のような状態であれば、まずはリフォームと募集条件の見直しで様子を見る価値があります。
- 雨漏り・傾き・大きなひび割れがない:建物の骨格に大きな問題がなければ、内装と設備の更新で見た目は大きく変わります
- 空室の原因が「古さ」ではなく「見せ方」にある:写真が少ない、鍵が現地で見られない、初期費用が高く見える。こうした理由で候補から外れていることが多くあります
- 周辺に同じ家賃帯の需要がある:単身者向けの需要が残っているエリアなら、価格の安さは強みになります
- 残債が少なく、家賃を下げなくても収支が回る:無理な借り入れをせずに工事費を出せる状態です
- 相続や売却の時期が決まっていない:方針が固まる前に大きな投資をすると選択肢が狭くなります
「築古だから決まらない」と言われがちですが、実際には募集の入口でつまずいている物件が少なくありません。空室の原因は項目ごとに切り分けられます。詳しくは空室の原因で整理しています。
建て替えや売却を検討したほうがよいケース
一方で、リフォームでは追いつかない状態もあります。
- 基礎や躯体に問題が出ている:土台の腐食、建物の傾き、床の沈み。これらは内装工事では解決しません
- 給排水管の全面交換が必要な段階にある:配管は壁や床の中にあるため、交換すると工事範囲が一気に広がります
- 1室のリフォーム費用を家賃で回収するのに10年以上かかる:入居期間より回収期間が長いと、次の退去でまた費用が出ます
- 周辺の賃貸需要そのものが縮んでいる:部屋をきれいにしても、借りる人がいなければ埋まりません
- 入居者がほとんどいない:空室が多い時期は、建て替えの障害が少ないタイミングでもあります
なお、旧耐震基準の建物の扱いや、工事費・解体費の税務上の取り扱い、入居者への退去のお願いの進め方については、一般的な考え方はあるものの、物件ごとの事情で結論が変わります。耐震・税務・法律の判断は、建築士・税理士・税務署・弁護士などの専門家に必ず確認してください。当社でも、必要に応じて専門家への相談をご案内しています。
築40年でも入居は決まるのですか?
決まります。ただし、新築と同じ探し方をしている入居者には届きません。築古物件を選ぶ方は「家賃を抑えたい」「広さが欲しい」など優先順位がはっきりしています。その層に向けて条件と見せ方を合わせることが前提です。
実務でよく効くのは、写真の撮り直し、鍵の現地対応、初期費用の見直し、水回りの部分的な更新です。工事の内容は原状回復工事のページでご確認いただけます。

判断する順番
最初から「リフォームか建て替えか」の二択で考えると、判断材料が足りないまま決めることになります。費用の小さい確認から順に進めます。
- 建物の状態を見てもらう:雨漏り・傾き・シロアリ・配管。ここで大きな問題が出れば、話が変わります
- 空室の原因を項目に分ける:問い合わせがないのか、内見後に決まらないのか。原因が違えば打ち手も違います
- 今の家賃で10年分の収支を書き出す:修繕の予定も入れて計算します
- 小さい打ち手から試す:写真・鍵・初期費用の見直しは数千円から始められます
- 埋まらなければ工事の範囲を広げる:1室ずつ効果を見ながら進めます
- 回収できない見込みなら、建て替えか売却を並べて比べる:ここで初めて大きな判断に入ります
売却を選択肢に入れる場合は、賃貸のまま売るか、空室にしてから売るかで結果が変わります。売買・買取の相談は同じグループのキタムラコーポレーション、内装工事だけの相談は大家さんの内装屋で承っています。
よくある判断ミス
- 築年数だけで決めてしまう:40年でも状態のよい建物と、30年で傾いている建物があります
- 家賃を下げて空室を埋める:一度下げた家賃は戻しにくく、売却時の評価にも影響します
- 全室を一度にリフォームする:効果を確かめる前に費用を使い切ります
- 資金計画を家賃収入だけで組む:建て替えの工事期間中は収入が止まります
まとめ
築40年という数字は、判断の理由にはなりません。見るべきは建物の骨格・空室の原因・これから10年の収支の3つです。この順番で確認すれば、リフォームで足りるのか、建て替えや売却を考える段階なのかが見えてきます。
築フルは築古物件に特化した賃貸管理を行っており、対応エリアは埼玉県を中心に千葉県西部・栃木県南部です。空室原因の切り分けから原状回復工事までグループ内で対応できます。迷っている段階で構いませんので、管理のお問い合わせからご相談ください。空き家になっている物件については空き家のお問い合わせを、賃貸管理の一般的な考え方は管理会社のココだけの話もあわせてご覧ください。


