築古物件で「鍵が現地対応でない」ことがどれだけ機会損失になるか

結論からお伝えすると、鍵が現地になく、内見のたびに管理会社の事務所へ取りに行く物件は、案内の候補から静かに外されていきます。断られるのではなく、同じ条件の別の物件が先に案内されるだけなので、オーナーには理由が見えません。

これは築古物件に限った話ではありませんが、築古物件ほど影響が大きく出ます。設備や築年数で並ぶと分が悪いところに、案内の手間まで加わるためです。逆に言えば、数千円から手を打てて、賃料を下げずに内見数を戻せる数少ない項目でもあります。

鍵が現地にない物件で内見が減っていく流れの図解。事務所への往復、1件あたり30から60分の追加、他物件が優先される、営業時間外は鍵を出せない、今から見たいに対応できない、空室期間が延びる、の6項目

鍵が現地にないと、案内はどう後回しになるのか

入居希望者を案内する営業担当の1日は、限られた時間の中で組まれています。午前と午後に2〜3件ずつ回るとして、その合間に鍵の受け渡しが挟まると、動ける件数が単純に減ります。

  • 案内の前に管理会社の事務所へ寄る。返却でもう一度寄る
  • 往復と待ち時間で、1件あたり30〜60分よけいにかかることがある
  • 事務所の営業時間外は、そもそも鍵を出せない
  • 土日・夕方の「今から見たい」という飛び込みに対応できない

営業担当も意地悪をしているわけではありません。同じ家賃・同じ間取りの物件が2つあり、片方はキーボックスで即案内できるとしたら、そちらを先に見せるのは自然な判断です。

どれくらいの機会損失になるのか

正確な数値は物件ごとに違いますので、考え方だけお伝えします。

仮に月10件の問い合わせがあり、そのうち内見につながるのが5件だったとします。鍵の受け渡しがネックで、そのうち2件が「別の物件を先に見た」という理由で流れたとすると、内見数は5件から3件に減ります。内見から成約に至る割合が3割前後だとすれば、月あたりの成約機会は1.5件から0.9件に落ちる計算です。

そのぶん空室期間が1か月延びれば、家賃6万円の部屋なら6万円の減収です。2か月なら12万円。キーボックスの導入費用は数千円程度ですから、1回でも内見が増えれば十分に回収できる金額になります。

もうひとつ見落とされがちなのが、賃料を下げる判断が早まってしまうことです。内見が入らない原因が鍵にあるのに「この賃料では厳しい」と判断して5,000円下げると、その差額は入居中ずっと続きます。10年で60万円です。空室の原因の切り分けについては空室の原因のページにも整理しています。

現地で鍵を扱えるようにする3つの方法

費用の小さい順に並べます。金額は目安で、物件の状況によって変わります。

1. キーボックス(数千円〜)

玄関脇やメーターボックスに取り付け、暗証番号で開ける方式です。工事も電源も不要で、その日から使えます。まず試すならこれです。

2. 現地保管+管理会社の常駐対応(物件による)

管理室や近隣の協力先に鍵を預ける方式です。棟数がまとまっている場合には成立しますが、単棟の築古物件では現実的でないことが多くなります。

3. スマートロック(数万円〜)

暗証番号を遠隔で発行・変更でき、いつ誰が開けたかの記録が残ります。募集期間だけ使い、入居後に取り外す運用も可能です。ただし扉の形状や鍵の種類によっては設置できない場合があります。

キーボックスとスマートロックを左右に並べた比較図。キーボックスは数千円で工事不要、暗証番号の定期変更が必要。スマートロックは数万円で遠隔発行と入退室記録が可能だが扉の形状によっては設置できない

キーボックスは防犯上、問題がないのか?

よくいただくご質問です。一般的には、次の運用ができていれば実務上のリスクは抑えられると考えられています。

  1. 空室でのみ使う。入居中の部屋には設置しない
  2. 暗証番号を定期的に変える。案内が一巡したら変更する
  3. 番号は口頭やメールで個別に伝える。物件情報に載せない
  4. 入居が決まったら必ず外し、シリンダーを交換する

ただし、防犯や保険の取り扱いは契約している火災保険の内容によっても変わります。設置の前に、保険会社または代理店に確認されることをおすすめします。断定はできない領域ですので、一般論としてお読みください。

埼玉・千葉西部・栃木南部では特に効きやすい

当社が対応している埼玉県・千葉県西部・栃木県南部は、駅から距離のある物件が多いエリアです。事務所から物件までの移動距離が長いほど、鍵の受け渡しの負担は重くなります。都心部の徒歩圏の物件より、この地域のほうが影響は大きく出ます。

また、車で内見に来る方が多い地域でもあります。「近くまで来たので今から見たい」という連絡に応えられるかどうかは、それだけで差になります。鍵の現地対応については鍵が現地対応ではないのページでも取り上げています。

まとめ

  • 鍵が現地にない物件は、断られるのではなく案内の順番が後ろになる
  • 1件あたり30〜60分の手間が、内見数を静かに削っていく
  • 内見が入らない原因を賃料と誤認すると、下げた差額が入居中ずっと続く
  • キーボックスなら数千円。空室期間が1か月縮めば十分に回収できる
  • 空室でのみ使い、番号を定期的に変え、入居時に外す運用を守る

築古物件は、設備や築年数で勝負しても分が悪い。だからこそ、お金をかけずに直せるところから順番に潰していくのが現実的な進め方です。鍵の扱いは、その最初の1つになります。

ほかの打ち手もあわせて確認したい方は、昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因をご覧ください。

「うちの物件はどうか」を具体的に見てほしい方は、管理のお問い合わせからご連絡ください。現地の鍵の扱いと募集の状況を確認したうえで、費用の小さい打ち手からご提案します。

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