消毒料は必要か|築古アパートのオーナーが見直す初期費用の中身

結論からお伝えすると、消毒料はオーナーの手取りを1円も増やさないのに、入居希望者が見る初期費用の総額を1万〜2万円押し上げる項目です。築古物件のように「初期費用の安さ」で選ばれる物件では、外す方向で見直す価値があります。ただし外せば仲介会社の取り分が減るため、代わりに何を出すかをセットで考えるのが実務です。この記事では、判断の材料と進め方を整理します。

消毒料を見直すときに押さえる6点の図。オーナーの収入にはならない、初期費用は家賃の3〜5か月分で消毒料は1万〜2万円、まず募集図面を確認する、家賃を下げるより傷が浅い、仲介会社に理由を添えて相談する、問い合わせがゼロなら効きにくい

消毒料とは、何にかかっている費用か

入居時の見積書に入っている「消毒料」は、室内を消毒液で処理する作業の費用です。相場は1万〜2万円程度で、実際の作業は数分から数十分で終わることが多いものです。仲介会社が専門業者へ外注し、その差額が仲介会社の利益になっている構図もあります。

費用の中身と背景は消毒料とは?で詳しく説明しています。まずはご自身の物件の募集図面(マイソク)に、この項目が入っているかどうかを確認してみてください。オーナーが知らないうちに載っていることは珍しくありません。

なぜ築古物件ほど効いてくるのか

築古物件を検討する入居希望者は、家賃だけでなく「入居時に一度で出ていく金額」を強く見ています。埼玉県、千葉県西部、栃木県南部のいずれのエリアでも、築古の単身向けは初期費用の総額で比較されやすい層が中心です。

家賃5万円の部屋で初期費用を並べると、こうなります。

  • 敷金・礼金……0〜10万円
  • 仲介手数料……約5.5万円
  • 前家賃・日割り家賃……約5万円〜
  • 火災保険……1.5万〜2万円
  • 保証会社の初回費用……家賃の0.5〜1か月分
  • 鍵交換……1.5万〜2.5万円
  • 消毒料……1万〜2万円

合計すると、家賃の3〜5か月分になることがあります。この総額が数万円下がるかどうかで、内見に来るかどうかが変わります。家賃を月3,000円下げると年間3.6万円、10年で36万円が消えます。一方、消毒料を外して総額を1.5万円下げるのはその入居者1回きりの調整です。同じ「安く見せる」でも、後に残るものがまったく違います。

オーナーの手取りは増えない

ここがいちばん大事な点です。消毒料は入居者が仲介会社へ払う費用であって、オーナーの家賃収入には入りません。つまりオーナーから見れば、自分の収入にならない項目のせいで、自分の部屋が選ばれにくくなっている状態です。

同じ性質の項目は、消毒料だけではありません。24時間サポート費、書類作成費、安心入居サポートといった名目が積み上がっていることもあります。募集図面を1枚めくって、オーナーの収入になる項目と、ならない項目を分けてみるところから始めてください。

消毒料は入居者に必ず払ってもらえるものなのか

一般的には、消毒は入居の条件として法律で義務づけられたものではなく、任意のサービスとして案内されるものと整理されています。実際、入居者側から断られて外れるケースもあります。

ただし、契約の内容や説明の仕方によって扱いは変わりますし、任意であるはずのものを必須のように案内することが問題になる場面もあります。個別の契約でどう扱うべきかは、断定せず、宅建業者や専門家に確認してください。オーナーとしてまず動けるのは、「自分の物件の募集条件をどうするか」を決めることです。

消毒料を外すと決めたら進める順番を示した図。募集図面を取り寄せる、オーナーの収入にならない項目を書き出す、仲介会社に目的を共有する、代わりの原資として広告料0.5か月分などを用意する、3か月間の反響数と内見数で結果を見る

外すと決めたら、何をするか

  1. 募集図面を取り寄せる……管理会社または仲介会社に、実際に配布されている図面を出してもらいます
  2. オーナーの収入にならない項目を書き出す……消毒料、サポート費など
  3. 仲介会社に理由を添えて相談する……「決めたい」という目的を共有します。一方的に削ると協力が得にくくなります
  4. 代わりの原資を用意する……広告料(AD)を0.5か月分積む、成約時の条件を明確にするなど
  5. 3か月、反響数と内見数で結果を見る……感覚ではなく数字で判断します

4番が抜けると、単に仲介会社の手取りを減らすだけになり、紹介の優先順位が下がることがあります。総額を下げる分の原資をどこから出すかまで決めて話すのが、うまくいく進め方です。広告料の考え方は広告料(AD)は何か月分が適正かにまとめています。

外さないほうがよい場合もある

都合の悪いことも書いておきます。次のような物件では、消毒料を外しても効果が出にくいことがあります。

  • そもそも問い合わせがゼロに近い……原因は初期費用ではなく、写真や掲載条件の側にあります
  • 内見はあるが決まらない……室内の状態や設備が理由のことが多く、数万円では動きません
  • 近隣に同条件の空室が大量にある……1項目の削減では埋もれます

初期費用の見直しは「あと一歩」を押す手であって、単独の切り札ではありません。空室が長引いている根本の原因については昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因もあわせてご確認ください。初期費用そのものの考え方は、大家さん向けメディアBONBON不動産の「敷金礼金ゼロは得か損か」でも扱っています。

まとめ

消毒料は、オーナーの収入にならないまま初期費用の総額を押し上げます。家賃を恒久的に下げる前に、まず募集図面を1枚確認してください。それだけで動く物件があります。

築フルは築古物件に特化して管理を行っており、空室が埋まらない原因を募集条件・反響数・内見数の面から分析しています。原状回復や設備の工事もグループ内で対応できるため、「初期費用を下げるべきか、室内に手を入れるべきか」を切り分けたうえでご提案できます。

管理についてのご相談は管理のお問い合わせから、空き家になっている物件のご相談は空き家のお問い合わせからお願いします。室内工事だけを個別に相談したい場合は、関東全域で原状回復を手がける大家さんの内装屋もご利用いただけます。

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