アパートの駐車場が空いたままのとき|オーナーが埋める順番と貸し方の選択肢

結論からお伝えすると、アパートの駐車場が空いたままのとき、先に決めるのは「誰に貸すか」ではなく「なぜ、この区画が選ばれていないのか」です。順番は、①現地で区画そのものを確かめる ②今の入居者と募集の中で埋める ③外部に貸す ④用途を変える。この順で見ていくと、お金をかけずに埋まる区画が先に見つかります。

4月の夕方、8台分の駐車場に立ちます。埋まっているのは5台。奥の3区画が空いたままです。白線は薄くなり、輪止めが1つ斜めにずれています。メジャーを当てると、通路側の幅が手前の区画より狭い。管理を任せている担当者が言います。「ここは切り返しが2回いるので、大きい車だと敬遠されるんです」。募集図面を見返すと、駐車場の欄には「有(空有)」とだけ書かれていて、幅も長さも載っていませんでした。埋まらない理由が、募集の外ではなく中にあった、という場面です。

空いた駐車場を埋める順番を6つに整理した図。区画を実際に測る、契約の形を確かめる、今の入居者に聞く、募集条件に載せる、外に出す、用途を変える前に許認可や税を確認する。

なぜ、その区画だけ空いたままなのか

同じ敷地の中でも、区画によって埋まり方が変わることがあります。現地で見ていくと、理由はだいたいこのあたりに集まります。

  • 停めにくい:出入口から遠い、切り返しが必要、隣の車と近い、柱や塀が邪魔になる
  • 幅と長さが分からない:募集図面に寸法がなく、自分の車が入るか判断できない
  • 足元の状態:土のまま、雨で水がたまる、雑草が伸びている
  • 料金と条件:近隣の月極と比べて条件が見劣りする、屋根の有無が違う
  • 入居者層と合っていない:そもそも車を使う人が少ない層に向けて募集している

誰に向けて部屋を募集しているかで、駐車場の必要台数は変わります。入居者層の決め方は 築古アパートは誰に貸すか(入居者層の決め方) に、募集全体の詰まりは 昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因 にまとめています。

外部に貸す前に、確かめておく5つのこと

  1. 区画の実寸:メジャーで幅・長さ・通路の幅を測り、数字で書けるようにする
  2. 契約の形:駐車場が部屋の賃貸借契約に含まれているか、別契約か。含まれている場合、区画の割り当てを変えるには入居者との合意が必要になります
  3. 台数の決まり:自治体の条例や建築時の条件で、敷地に必要な駐車台数が定められている場合があります。減らす・別の用途にする前に、市区町村の窓口と建築士にご確認ください
  4. 保険の範囲:入居者以外の車を入れると、事故や車両トラブルの扱いが変わることがあります。加入している保険会社にご確認ください
  5. 周辺の条件:近くの月極募集を3件ほど調べ、自分の区画がどの位置にあるかを見る

埋める順番は「近いところから」

手間と戻しやすさを考えると、次の順で試すのが無理がありません。

  • 1. 今の入居者に聞く:2台目、来客用、バイク。すでに敷地内にいる人がいちばん近い相手です
  • 2. 募集条件に組み込む:寸法を図面に載せる、駐車場込みの条件にする、軽自動車向けとして出す。家賃を下げる前に試す4つの手 と同じ考え方で、賃料を動かす前に条件を動かします
  • 3. 近隣に月極として貸す:地元の不動産会社に募集を依頼する、敷地に掲示する
  • 4. 事業者に一括で貸す:コインパーキング等の事業者に土地として貸す形。設備は事業者側が入れることが多い形です
  • 5. 用途を変える:バイク置場、駐輪場、トランクルーム、資材置場など

金額は敷地の位置と広さで大きく変わるため、ここでは書きません。複数の事業者・不動産会社から条件を出してもらい、数量と期間が入った形で比較してください。

用途を変えるとき、何が引っかかるのか

4番と5番は、駐車場として貸すのとは性格が変わります。先に見ておく点を挙げます。

  • 許認可と法令:置くものによっては建築物として扱われ、確認申請が必要になる場合があります。一般的には、用途地域・建ぺい率・消防の扱いも関わってきます。市区町村の窓口と建築士にご確認ください
  • 税の扱い:土地の使い方が変わると、固定資産税の評価や特例の扱いが変わることがあります。自治体の資産税担当と税理士にご確認ください
  • 近隣への影響:夜間の出入り、ヘッドライトの向き、扉の開閉音、ゴミ。隣家の寝室に光が向く配置になっていないかは、暗くなってから現地で見ると分かります
  • 入居者への影響:来客用がなくなる、知らない車が敷地に入る。ここを説明しないまま始めると、問い合わせが管理側に集まります
  • 原状回復と撤退:舗装、フェンス、電気の引込。手を入れるほど元に戻しにくくなります。契約書に、解約の条件と、設備を誰が撤去するかが書かれているかを確認してください
駐車場のまま埋める場合と、用途を変える場合を並べた比較図。用途を変えると許認可の確認や初期費用が生じ元に戻しにくい。駐車場のまま埋めるなら寸法の記載や入居者への声かけで費用がほとんどかからず戻せる。

外に出したあとで、出てくる問題

  • 外部に貸したところ、入居者から「知らない車が停まっている」と連絡が入り、区画の位置を組み替えることになる
  • 事業者に相談したが、台数や前面道路の条件が合わず、そもそも話が進まない
  • トランクルームは初期の費用が先に出ます。埋まるまでの期間が読めず、その間は固定の支出だけが残ります
  • 空いた区画を駐輪場にしたあとで、車を持つ入居者の申込みが入り、戻せない
  • 長期の一括貸しは、売却するときに買主の条件と合わないことがあります

駐車場は、収支の中では小さく見えて、手を入れた費用は確実に出ていきます。全体のお金の流れは 満室なのにお金が残らない築古アパート と合わせて見てください。

まとめ

空いている区画は、余っている土地ではなく、条件が伝わっていない商品であることがあります。埼玉・千葉県西部・栃木県南部の昭和築のアパートでは、当時の車の大きさを前提に線が引かれたままの駐車場も残っています。まず測る、次に伝える、それでも空くなら外に出す。この順番を飛ばして事業者に相談すると、戻しにくい選択から入ることになります。

今日やることを1つだけ選ぶなら、メジャーで空いている区画の幅と長さ、通路の幅を測り、数字を募集図面に載せてもらってください。それだけで、問い合わせの前に判断できる人が増えます。なお、駐車台数の決まり、用途を変える際の許認可、固定資産税や保険の扱いについては、市区町村の窓口・建築士・税理士・保険会社にご確認ください。

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