家賃を下げる前に試す4つの手|築古アパートのオーナーが順番に確かめること

結論からお伝えすると、家賃を下げるのは最後の手です。募集条件のうち、家賃より先に動かせるものが4つあります。順番を間違えると、一度下げた家賃は次の退去まで戻せません。

退去の連絡が入って2週間。内見は3件入ったのに決まらない。仲介会社に電話すると「あと3,000円下げてもらえたら勝負できます」と言われる。築古のアパートを持っていると、この場面が必ず来ます。ここで出す3,000円が、その部屋の次の10年を決めます。

家賃を下げる前に動かす4つの手をまとめた図。初期費用を削る、フリーレントをつける、設備を1つ足す、条件の幅を広げる。

3,000円下げると、10年でいくら減るのか

月3,000円は、年間で36,000円です。次の入居者が10年住めば360,000円。下げた家賃は、その人が退去するまで戻せません。

一方で、空室が1か月伸びたときの損は、家賃60,000円の部屋なら60,000円です。数字だけを並べると「1か月空けるより下げたほうが得」に見えます。この計算が、築古の賃料が下がり続ける理由です。

比べるべきは「1か月の空室」と「3,000円」ではありません。「1か月の空室」と「10年分の36万円」です。そう置き換えると、先に試すことが出てきます。

家賃より先に動かす4つ

1. 初期費用を削る

礼金1か月をゼロにすると、入居者の初期費用は家賃1か月ぶん軽くなります。効果は「家賃を下げる」に近いのに、減るのは1回だけです。月々の家賃は下がりません。消毒料や書類作成費など、入居者が納得しにくい項目も同じです。

初期費用の中身については 消毒料は必要か|築古アパートのオーナーが見直す初期費用の中身 で詳しく書いています。

2. フリーレント(家賃の無料期間)をつける

1か月フリーレントは、実質的に初期費用を1か月ぶん下げるのと同じです。募集図面に「フリーレント1か月」と載り、条件で絞り込む人の目に留まります。それでいて、契約書に書く家賃の額は変わりません。

3. 設備を1つ足す

エアコン、洗濯機置き場の防水パン、宅配ボックス、Wi-Fiの引き込み。設備は「あるかないか」で検索の対象から外れます。家賃を3,000円下げても検索条件には出てきませんが、設備は出てきます。

設備の交換時期の考え方は 給湯器とエアコンはいつ交換するか|築古アパートのオーナーが壊れる前に決める基準 にまとめました。

4. 条件の幅を広げる

ペット可、楽器可、二人入居可、事務所使用可、高齢の方の入居可。築古の強みは、新築では出しにくい条件を出せることです。ペット可にすると「ペット可・築年数不問」で探している人の候補に入ります。

ただし、原状回復の負担が変わります。ペット可にするなら、退去時の取り扱いを契約書と募集条件の両方に書いておく。後から揉める形にしないことが条件です。

内見が入らないのか、内見のあとで決まらないのか

この2つは、原因がまったく違います。先にどちらなのかを仲介会社に聞いてください。

  • 内見が入らない:条件で候補から外れている。家賃・設備・条件の幅の問題
  • 内見は入るが決まらない:見た瞬間の印象の問題。掃除、におい、共用部、写真との差

内見が入っているのに決まらない部屋で家賃を下げても、下げた家賃で同じ理由で断られます。順番が逆です。

空室が埋まらない原因の切り分けは 昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因 でも扱っています。

内見が入らない場合と、内見は入るが決まらない場合で打ち手が違うことを比べた図。前者は条件の問題、後者は印象の問題。

それでも家賃を下げると決めたときに、必ずやること

  1. 下げる期限を決める。「◯月まで決まらなければ」と先に置く。ずるずる下げない
  2. 他の部屋との差を確認する。同じ建物の他室より低くすると、更新のときに説明できなくなる
  3. 下げた記録を残す。いつ・いくら・なぜ下げたか。次の募集の判断材料になる
  4. 戻す条件も一緒に決める。設備を入れたとき、周辺の相場が動いたとき

3点ユニットのように「設備の形そのもの」が理由になっている場合は、下げても効かないことがあります。その場合の考え方は 3点ユニットの部屋はもう決まらないのか をご覧ください。

まとめ

家賃は、動かすと戻せない条件です。初期費用・フリーレント・設備・条件の幅を先に試して、それでも動かないときの最後の手にしてください。

どこから手をつけるべきか判断がつかないときは、募集を止めずに、まず仲介会社に「内見は入っていますか」と聞くところから始めてください。そこが分かれば、次に動かすものは決まります。

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