アパートの駐車場のために歩道を切り下げるなら、道路法24条の承認が先です|築古アパートのオーナーが読む出入口の基準

結論からお伝えすると、アパートの駐車場の出入口をつくるために歩道の縁石を切り下げるなら、工事の前に道路管理者の承認が要ります。道路法24条は、道路管理者以外の者が道路に関する工事をするには、工事の設計と実施計画について道路管理者の承認を受けると定めています。費用は承認を受けた側の負担です(57条)。そして承認には、出入口の位置と幅の基準があります。駐車場の区画を決めてから相談に行くと、基準に合わずに図面を引き直すことになりがちです。

たとえば、築30年のアパートの前庭を壊して、車2台分の駐車場にしようとしているとします。敷地と車道の間には高さ15センチほどの歩道があり、いまは入居者が自転車で段差を乗り越えている。外構の業者から「縁石を切り下げれば車が入れます。ついでにやっておきますよ」と言われた。この「ついでに」が、いちばん危ない一言です。

歩道を切り下げる前に測る5点

自分の敷地の前の歩道なのに、承認が要るのですか?

要ります。歩道は道路の一部で、管理しているのは国・県・市などの道路管理者です。24条の承認が要らないのは、道路法施行令3条が定める「道路の損傷を防止するために必要な砂利又は土砂の局部的補充その他道路の構造に影響を与えない道路の維持」だけです。縁石を下げて歩道の高さを変える工事は、道路の構造を変えるので、これに当たりません。

承認を受けずに縁石を壊した場合、道路法43条1号は「みだりに道路を損傷し、又は汚損すること」を禁じており、違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の定めがあります(102条1項3号)。さらに道路管理者は、法律に違反している者に道路を原状に回復することを命じられます(71条1項)。業者に任せた工事でも、出入口を使う大家が無関係とは言い切れません。

どこに申請すればいいのですか?

前の道路が国道・県道・市道のどれかで、窓口が変わります。ここで知っておきたいのが17条1項です。政令指定都市の区域内では、県道と、県が管理するはずの国道の管理を、その市が行うと定めています。さいたま市内なら、県道に面した物件でも管理者は市です(国が直接管理する区間の国道は、国の事務所が窓口です)。前の道路の種類と管理者は、市役所の道路の担当課で確かめられます。

出入口の位置と幅には、どんな基準がありますか?

基準は道路管理者ごとに定めています。例として、埼玉県(本庄県土整備事務所)が公表している「道路工事施行承認申請に当たって」には、次のような基準があります。

  • 出入口は隣の敷地との境界から4メートル以上、既存の出入口から8メートル以上離す
  • 出入口は同じ路線に1か所が原則
  • 交差点から5メートル以内、横断歩道から5メートル以内、バス停留所から10メートル以内、消防用施設から5メートル以内などには設けない
  • 開口部の幅は、小型自動車・普通自動車用で4.2メートル以下が上限の目安
  • 出入口の両側0.6メートルずつを含めて補強舗装し、側溝が出入口用でなければ入れ替える

間口が狭い築古の敷地では、「隣地境界から4メートル」だけで出入口の位置がほぼ決まってしまうことがあります。この基準は県の例で、市や国道事務所では数字が違うことがあるため、必ず前の道路の管理者の基準で確かめてください。

費用と手続きは、どのくらいかかりますか?

工事費は57条のとおり申請者の負担です。同じ資料は、街路樹や標識、道路照明灯などを移す必要が出れば、その移設費も申請者の負担としています。手続きの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 事前相談:現況の平面図、駐車場の配置を描いた土地利用計画図、道路側と左右から撮った現況写真を持っていく。県の資料は「建築確認申請の前」の相談を求めている
  2. 申請:道路工事施行承認申請書に、平面図・縦断図・横断図の現況と計画を添えて出す(県は3部)
  3. 工事:車道や歩道で作業するため、所轄の警察署で道路使用の許可も受ける
  4. 完了届と検査:工事写真を付けて完了を届け出る

駐車場そのものの舗装は、道路の外の話です。砂利かアスファルトかで償却の年数が変わる点は駐車場に砂利を敷いただけでも、償却はアスファルトより長い15年ですに書いています。

歩道の切り下げを申請してから完了を届けるまでの手順

都合の悪いことも書いておきます

承認は、出入口を独占して使う権利を与えるものではありません(県の資料にも明記されています)。歩道を歩く人が優先で、出入口の前に車を止めたまま荷物を降ろすような使い方は、別の問題になります。また、切り下げ部分は道路の一部のままなので、後から出入口をやめるときも承認を受け、元の形に戻す必要があります。敷地の前に水路や電柱がある場合は、それぞれ別の手続きが重なります。水路は敷地の前に水路があると、道路に接していないことがあります、電柱は敷地の電柱は、電気事業法で立っているのではありませんを見てください。

今日やることを1つだけ選ぶなら

敷地の前の歩道で、隣の敷地との境界から4メートルの位置にメジャーを当て、そこから先に車2台分の出入口が取れるかを測ってください。取れないなら、駐車場の台数か配置を変える必要があります。図面を業者に頼むのは、その寸法を確かめてからでも遅くありません。

出典

  • 道路法17条・24条・43条・57条・71条・102条、道路法施行令3条(e-Gov 法令検索・2026年10月13日時点)
  • 埼玉県(本庄県土整備事務所)「道路工事施行承認申請に当たって」(2026年10月13日閲覧)

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