給湯器とエアコンはいつ交換するか|築古アパートのオーナーが壊れる前に決める基準

結論からお伝えすると、給湯器とエアコンは「壊れてから」ではなく「退去のタイミングと設置年」で交換を決めるほうが、費用も手間も小さくなります。壊れるのは真夏と真冬で、その時期はどこの業者も最も混んでいます。

8月の午後、入居者から「エアコンが冷えない」と連絡が入る。業者に電話すると、点検に来られるのが数日後、部材の取り寄せが必要なら、そこからさらに数日。1月の夜に給湯器が動かなくなった場合も同じです。その間、入居者はお湯が使えないまま待つことになります。この状況を作らないための判断基準が、この記事の内容です。

壊れてから替えるほうが安い、は成り立たない

「まだ動いているから、壊れたら替える」という考え方は、費用だけを見れば合理的に見えます。しかし実際に壊れたときに発生するのは、機器の代金だけではありません。

  • 繁忙期の工事になる——真夏・真冬は依頼が集中し、日程を選べません
  • 入居者への対応が必要になる——連絡、日程調整、場合によっては銭湯代などの実費負担の相談
  • 選ぶ余裕がなくなる——在庫がある機種を急いで入れることになります
  • 信頼が減る——一度不便をかけた入居者は、更新のときに他を探し始めます

設備の交換は、入居者が入っていない期間にやれば、この4つすべてが消えます。同じ工事でも、時期を選べるかどうかで中身が変わります。

給湯器とエアコンの交換を決める6点の図。銘板で製造年を確認する、10年を目安にする、真夏と真冬の故障は待たされる、修理見積が交換費の半分を超えるか、機器台帳を作る、退去時に決めるという項目を並べた一覧。

何年を目安にすればいいのか

ひとつの目安は10年です。給湯器やエアコンには、メーカーが定める設計標準使用期間があり、10年としている機種が多いためです。これは「10年で壊れる」という意味ではなく、「それを超えると経年劣化による故障の確率が上がる」という前提で設定されている期間です。

確認のしかたは簡単です。本体に貼られた銘板に、型番と製造年が入っています。給湯器なら本体正面か側面、エアコンなら室内機の右側面か、フィルターを外した内側です。給湯器は号数(16号・20号など)も同じ場所に書かれています。交換のときに同じ号数を選ばないと、シャワーの勢いが変わって入居者からの指摘につながります。

なお、税務上の耐用年数は設計標準使用期間とは別の考え方です。修繕費として処理できるか資本的支出になるかは、一般的には工事の内容で判断が変わりますので、金額が大きい工事の前に顧問税理士へご確認ください。

修理と交換の分かれ目はどこにあるのか

点検に来た業者から「部品を替えれば直ります」と言われたとき、判断が必要になります。ひとつの目安として、修理の見積が交換費用の半分を超えるなら、交換に寄せるという線引きが使えます。

加えて、次のどれかに当てはまるなら、修理は延命にしかなりません。

  1. 設置から10年を超えている——別の部品が次に来ます
  2. 同じ症状で2回目の修理になる
  3. 部品の在庫が終わりかけていると言われた——次に壊れたときは修理という選択肢がなくなります

逆に、設置から数年で、原因がはっきりした単発の不具合であれば、修理で問題ありません。判断を分けているのは金額ではなく、設置年です。

エアコンの「冷えない」という連絡は、原因が3つに分かれます。フィルターの目詰まり、冷媒ガスの不足、室外機側の不具合です。フィルターであれば入居者に清掃をお願いするだけで解決しますが、設置から10年を超えた機器でガスが抜けている場合は、補充しても抜けた場所が直っていないため、同じ夏のうちに再発します。点検に来た業者には、症状だけでなく製造年を伝えてください。判断が早くなります。

台帳を1枚作ると、判断が要らなくなる

いちばん効くのは、部屋ごとの設備を1枚に書き出しておくことです。項目は4つで足ります。

  • 部屋番号
  • 機器の種類(給湯器・エアコン)
  • 型番と号数
  • 製造年と設置年

作るタイミングは、退去の立会いのときが最も楽です。空室になっていれば、室内機のフィルターを外して銘板を見るのも、給湯器の正面を撮るのも数分で終わります。入居中の部屋にわざわざ確認へ行く必要はありません。退去のたびに1室ずつ埋めていけば、数年で全室が揃います。

これを製造年の古い順に並べると、今年替えるべき部屋が自動的に決まります。年度の初めに予算を置いておけば、退去が出たときに迷わず発注できます。空室期間中に工事を入れられるので、募集の開始が遅れることもありません。

台帳がないまま10年以上経った建物では、旧耐震かどうかの確認や修繕の優先順位づけも同時に必要になることがあります(旧耐震のアパートを持ち続けるリスクと選択肢)。設備の記録は、その判断の出発点にもなります。

壊れる前に交換を決めておく手順の図。全室の機器を書き出す、製造年の古い順に並べる、今年替える部屋と予算を決める、繁忙期前に発注する、退去時に原状回復と同時に行う、台帳に設置年を戻す、という6段の流れ。

進める順番

  1. 全室の給湯器とエアコンの製造年を、銘板で確認する
  2. 古い順に並べる
  3. 今年交換する部屋を決め、予算を置く
  4. 繁忙期に入る前に発注しておく
  5. 退去が出た部屋は、原状回復と同時に交換する(原状回復工事
  6. 交換したら、設置年を台帳に戻す

埼玉県・千葉県西部・栃木県南部の築古アパートでは、設備の設置年が分からないまま引き継がれている建物が少なくありません。まず現状を1枚にまとめるところからご相談いただけます。管理のお問い合わせからお気軽にどうぞ。

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