入居者に配る災害時の連絡先は、入居時に集める緊急連絡先と向きが逆です|築古アパートのオーナーが今のうちに揃える6つ

結論からお伝えすると、賃貸借契約で集める「緊急連絡先」と、災害が起きたときに大家さんから入居者へ配る「連絡先」は、向きがまったく逆です。前者は入居者と連絡がつかないときに大家さんが先方(多くは親族)へ連絡するためのもので、後者は入居者自身が困ったときに頼る先です。前者はほぼ全戸で集めているのに、後者を用意している大家さんは、実はそれほど多くありません。

入居者名簿の緊急連絡先と、配る連絡先はどう違うのですか?

入居申込書に書いてもらう緊急連絡先は、家賃の長期滞納や安否確認など、入居者本人と連絡がつかないときに大家さんが使うものです。個人情報保護法27条1項2号は「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」は本人の同意なしに第三者へ提供できると定めており、災害時の安否確認はこの典型例として想定されています。

一方、台風が近づいたときや地震のあとに入居者が困るのは「どこに連絡すれば直るのか分からない」ことです。水道局やガス会社の連絡先を知らないまま、深夜に大家さんの携帯へ何件も電話が入る、というのはよく聞く話です。ここで要るのは、入居者に向けて渡す連絡先の一覧という、集める側とは逆方向の備えです。

2026年11月1日、防災庁が発足します

2026年7月13日に防災庁設置法が成立し、2026年11月1日に防災庁が発足する予定です。内閣直下の組織として災害対応の司令塔となり、他省庁への勧告権を持ちます。職員定員は前身の内閣府防災担当(220人)の1.6倍にあたる352人となる見込みです。国の防災体制が変わる節目にあわせて、物件ごとの備えも一度見直しておくとよいタイミングです。

入居者に配る災害時の連絡先6つを示した図

配る連絡先に入れておきたい6つ

  • 大家さん・管理を任せている先の連絡先(電話番号と、つながりやすい時間帯)
  • 水道局のお客様センター(断水・漏水の通報先)
  • 電力会社の停電情報窓口
  • ガス会社の緊急通報先(ガス漏れのにおいがしたとき)
  • 最寄りの指定避難所(自治体のハザードマップで確認したもの)
  • 火災保険の事故受付窓口(更新前の確認と合わせて、保険証券に書かれた連絡先を控えておく)

119番・110番は書かなくてよいのか

火災や急病など生命にかかわるときは、当然ながら119番・110番が最優先です。ここで用意するのは、それより手前にある「生活インフラで困ったときの入口」をまとめた一覧で、命の危険がある場面の連絡先を差し替えるものではありません。両方が揃って、はじめて配る意味が出てきます。

水道・電気・ガスの連絡先は変わることがある

水道局やガス会社の窓口番号は、組織の統合や再編で変わることがあります。一度作った連絡先の紙をそのまま貼りっぱなしにせず、更新の有無を年に一度は確かめておくと、いざというときに古い番号を案内してしまう事故を防げます。避難所の位置も、自治体のハザードマップが更新されると変わることがあります。

いつ、どうやって配ればよいか

  1. 入居時の契約書類に同封する
  2. 共用部の掲示板に常設で貼っておく
  3. 台風の接近など、必要が近づいたタイミングで改めて知らせる

1回配って終わりにせず、3つを組み合わせておくと、実際に必要になった瞬間に手元に残っている確率が上がります。避難経路そのものの整備については、外階段の幅は90センチか60センチかで分かれますもあわせてご確認ください。

災害時の連絡先を配る3つの手順を示した図

火災保険の連絡先は、更新前にまとめて確認する

火災保険の事故受付窓口は、保険証券に記載されています。更新のタイミングで補償内容を見直す際に、あわせて連絡先が変わっていないかも確認しておくと、配る連絡先の作り直しが1回で済みます。更新前に確認しておきたい項目は、大家が火災保険の証券で確認する5つの欄で扱っています。

配る連絡先は、特別な書式が要るものではありません。手元にある番号を1枚にまとめ、入居者の目に触れる場所に置いておくところから始めれば十分です。

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