外階段の幅は90センチか60センチかで分かれます|築古アパートのオーナーが避難の条文から逆算する順番
結論からお伝えすると、アパートの外階段の幅には90センチと60センチという2つの数字があり、どちらが自分の建物に効くかは「その階段が直通階段かどうか」で決まります。木造2階建ての小さなアパートでも、避難の条文は適用されます。階数や面積で外れる、という思い込みが、いちばん危ない誤解です。

2階建てのアパートでも、避難の規定は適用される
建築基準法施行令117条1項は、廊下・避難階段・出入口についての節(第5章第2節)を、どの建物に適用するかを定めています。読むとこうなっています。
「この節の規定は、法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物……又は延べ面積が千平方メートルをこえる建築物に限り適用する」
共同住宅は、建築基準法の別表第一(い)欄(二)項に挙げられている用途です。つまり階数が2でも、延べ面積が1,000平方メートル以下でも、アパートである時点で最初の条件で入ります。「うちは2階建てだから関係ない」は、この条文の読み方としては成り立ちません。
廊下の幅は、100平方メートルで段が変わる
令119条は廊下の幅の表です。共同住宅については、住戸・住室の床面積の合計が100平方メートルを超える階における共用の廊下が対象で、数字はこうなります。
- 両側に居室がある廊下 … 1.6メートル以上
- その他の廊下(片側廊下)… 1.2メートル以上
外廊下のアパートはたいてい片側廊下なので1.2メートルの側です。100平方メートルという線は「その階の住戸の合計」なので、25平方メートルの部屋が5つ並ぶ階なら125平方メートルで超えます。築古アパートで多い形です。
共用廊下に物が置かれる話は、この幅の話と地続きです。扱いは共用廊下に自転車や荷物が置かれているとき|築古アパートのオーナーが「禁止」と貼る前に引く2本の線にまとめました。
外階段の幅は、90センチか60センチか
階段の寸法は令23条1項の表です。共同住宅の共用階段は表の(四)にあたり、幅75センチ以上、蹴上げ22センチ以下、踏面21センチ以上が原則になります。
ところが同じ条にただし書があり、屋外階段だけ別の数字が置かれています。
「ただし、屋外階段の幅は、第百二十条又は第百二十一条の規定による直通階段にあつては九十センチメートル以上、その他のものにあつては六十センチメートル以上……とすることができる」
ここが冒頭の2つの数字です。避難のために必要な直通階段として置かれている外階段なら90センチ以上、そうでない補助的な外階段なら60センチ以上。築古アパートの外階段は、多くが前者です。
あわせて令23条3項に、手すりの扱いが書かれています。手すりや高さ50センチ以下の昇降設備が設けられた場合、その幅は10センチを限度としてないものとみなして階段の幅を算定する。つまり後付けの手すりが10センチまでなら、幅の計算では引かなくてよいということです。逆に、10センチを超える張り出しのある手すりを付けると、その超えた分は幅から引かれます。外階段に手すりを足すときに効いてきます。
令25条1項は「階段には、手すりを設けなければならない」と定め、4項で高さ1メートル以下の階段の部分には適用しないとしています。外階段のサビと手すりの点検の仕方は外階段のサビと手すりのガタつきはいつ直すか|築古アパートのオーナーが自分で見る5か所に書きました。

階段が1本でよいのか、2本要るのか
令121条1項5号は、共同住宅の用途に供する階で、その階における居室の床面積の合計が100平方メートルを超えるものには、2以上の直通階段を設けなければならないとしています。2項で、主要構造部が準耐火構造か不燃材料で造られている建築物なら、この100平方メートルは200平方メートルに読み替えられます。
そのうえで4項に例外があります。階数が3以下で延べ面積が200平方メートル未満の建築物の避難階以外の階については、区画などの条件を満たすときに1項の4号・5号の適用がありません。小規模な木造アパートで階段が1本しかないのは、たいていこの筋です。ただし4項は間仕切壁や防火設備で区画されていることなどが条件になっていて、無条件ではありません。
階段までの距離は令120条1項です。共同住宅の居室は表の(三)にあたり、主要構造部が準耐火構造または不燃材料で造られている場合は50メートル、その他の場合は40メートルが、居室の各部分から直通階段の一に至る歩行距離の上限になります。さらに令121条3項で、2つの階段へ向かう経路に共通の重複区間があるときは、その重複区間の長さは歩行距離の数値の2分の1を超えてはならないとされています。
オーナーが今の建物で確かめる順番
- 外階段の幅を実測する。手すりの内側ではなく、有効な幅がどこまであるか
- その階段が唯一の直通階段かどうかを確かめる。唯一なら90センチの側の話になる
- 共用廊下の幅を測り、その階の住戸の床面積の合計を出す。100平方メートルを超えているかどうかで見る数字が変わる
- 検査済証と確認申請の図面を探す。既存の建物がいまの基準どおりとは限らず、既存不適格として扱われている場合もある
夜間に階段が見えるかどうかも、避難のうちです。共用部の照明はアパートの共用廊下に非常用照明は要るのか|築古アパートのオーナーが外廊下と階数で分ける順番とアパートの共用灯は、使えなくなるのではなく作れなくなります|築古オーナーがLED交換を3つの期日で決めるを参照してください。ベランダ側の避難経路についてはアパートのベランダは誰の場所か|築古アパートのオーナーが物を置かせない2か所と手すりの1メートルに書いています。
なお、既存の建物がどの基準で建てられ、いまどう評価されるかは、建てた年と確認申請の内容で変わります。一般的には上記のとおりですが、実際の判断は建築士または特定行政庁(埼玉・千葉県西部・栃木県南部の各市町村の建築指導課)にご確認ください。
今日やることを1つだけ選ぶなら
外階段の有効幅を、メジャーで1か所だけ測ってください。90センチを下回っているなら、それは手すりの付け方か、そもそもの造りの話です。どちらにしても、測った数字がないまま工事業者と話すと、見積もりが「一式」になります。数字を1つ持っているだけで、話が具体になります。


