敷地が2つの用途地域にまたがると、用途は過半で、容積率は面積の割合で決まります|築古アパートのオーナーが読む建築基準法91条
結論からお伝えすると、敷地が2つの用途地域にまたがっているとき、建てられる用途は「敷地の過半が属する地域」の決まりで決まり(建築基準法91条)、容積率と建蔽率は「それぞれの地域の面積の割合」で按分して決まります(52条7項・53条2項)。防火地域と準防火地域は、さらに別の決まりで、建物の全部に厳しいほうがかかります(65条)。1つの敷地に3つの物差しが同時にかかる、と覚えておくと間違えません。
幹線道路から1本入ったところにある築古アパートの敷地を都市計画図で見ると、道路から一定の幅だけ色が違う、ということがよくあります。道路沿いだけが近隣商業地域で、奥は第一種住居地域。敷地の真ん中を地域の線が横切っている形です。この敷地で建て替えや売却を考えるときの読み方を、条文の順に整理します。

用途は、どちらの地域の決まりに従うのですか?
91条は、敷地が地域の内外にわたる場合、敷地の過半の属する地域の規定を、建物と敷地の全部に適用すると定めています。奥の第一種住居地域が敷地の6割なら、建てられる用途は第一種住居地域の決まりで判断します。道路沿いの4割が近隣商業地域でも、その部分だけ店舗の決まりで建てる、ということにはなりません。
ただし91条は、容積率(52条)・建蔽率(53条)・高さや斜線の制限(54条から56条の2まで)などを、この過半の扱いから外しています。防火地域・準防火地域と高度地区も外れています。ここが読み違えやすいところです。
容積率と建蔽率は、どう計算するのですか?
容積率は52条7項、建蔽率は53条2項で、それぞれの地域の限度に、その地域にある敷地の面積の割合を掛けて合計します。たとえば敷地200平方メートルのうち、
- 120平方メートルが第一種住居地域(容積率200%・建蔽率60%)
- 80平方メートルが近隣商業地域(容積率300%・建蔽率80%)
なら、容積率は200%×0.6+300%×0.4=240%、建蔽率は60%×0.6+80%×0.4=68%です。52条7項は前面道路の幅による上限(52条2項)も含めて按分するので、道の幅が狭ければ、それぞれの地域の数字を先に道の幅で下げてから掛けます。第一種住居地域なら、前の道が4メートルで200%は160%に下がります。
高さの制限は、地域ごとに部分で見ます
道路斜線や隣地斜線などの高さの制限(56条)と、高度地区は、91条の過半の扱いから外されています。そのため一般的には、敷地のうち第一種住居地域にある部分には第一種住居地域の斜線が、近隣商業地域にある部分には近隣商業地域の斜線が、それぞれかかるものとして計画します。建物の形が地域の線のところで段になるのは、このためです。容積率は按分で増えても、奥の部分の高さは住居系の制限で抑えられる、ということが起きます。
防火地域にまたがるときは?
65条は、建物が防火地域または準防火地域と、指定のない区域にわたる場合、建物の全部に防火地域または準防火地域の規定を適用すると定めています。防火地域と準防火地域にわたる場合は全部に防火地域の規定です。例外は、指定の外側で防火壁で区画した場合だけです。過半ではなく、少しでもかかれば全体が厳しいほう、という点が91条と逆です。外壁や軒天の材料の選び方は軒天の張り替え材は、準防火地域だと自由に選べませんに書いています。

都合の悪いことも書いておきます
地域の境目が敷地のどこを通るかは、都市計画図の線だけでは数十センチの単位まで読めないことがあります。「道路の境界から何メートル」と決められている場合、その起点がどこかで敷地の過半がひっくり返ることもあります。埼玉・千葉西部・栃木南部でも、幹線道路沿いの敷地ではよく起きます。斜線の制限が地域ごとにどうかかるかも含めて、市町村の都市計画と建築指導の窓口で確かめてから建て替えの計画や売却の価格を考えてください。用途の話はアパートの1室を事務所に使いたいと言われたらも参考になります。
今日やることを1つだけ選ぶなら
都市計画図で、自分の敷地に地域の線が通っていないかを1回だけ見てください。通っていたら、それぞれの側の面積をざっくり出す。過半がどちらかで、建てられる用途が決まります。
出典
- 建築基準法52条・53条・65条・91条(e-Gov 法令API・2026年10月9日時点)


