アパートの落ち葉と剪定枝は家庭ごみに出せない|築古アパートのオーナーが敷地の木で先に確かめること
ブロック塀ぎわに、黒く湿った葉が厚く積もっている。管理を頼んでいる方が竹ぼうきで集め、半透明の袋に4つ。翌週、袋はまだ同じ場所にありました。「これ、うちの集積所には出せないと言われまして」。
結論からお伝えすると、アパートの敷地から出た落ち葉・刈草・剪定枝は「事業ごみ」です。家庭ごみの集積所には出せません。自治会や入居者から「うちの集積所を使っていいですよ」と言われても、それでも出せません。さいたま市は、その質問にはっきり答えを書いています。

敷地の落ち葉が「事業ごみ」になる理由
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第3条第1項は「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めています。賃貸経営は事業ですので、建物の管理として掃除をして出たものは、この「事業活動に伴つて生じた廃棄物」に入ります。
さいたま市の「事業ごみに関する質問集」には、この形の質問と回答がそのまま載っています。
- 「地元の自治会や建物所有者から、収集所の利用を勧められた場合でも、事業ごみを家庭ごみの収集所に出すことはできません」
- 「管理者が掃除を行い、それによって発生したごみも事業ごみとなります。家庭ごみとして取り扱うことはできません」(テナント・マンションの掃除で枯葉が集まった場合の回答)
同じ質問集には、線の引き方も書かれています。マンションやアパートで、入居者が自分の部屋から出すごみは家庭ごみ。管理に関するごみと共用部分のごみは事業ごみ。掃除をしたのが誰かではなく、どこから出たかで分かれます。
自宅の庭木とは、どこが違うのですか?
自宅の庭であれば、家庭ごみとして市の収集所に出せます。さいたま市の場合、枝は太さ10センチ以内なら束ねて出すことができ、収集所に1回に出せる剪定枝・刈草の量は3束・3袋までです。長さや束の大きさ、袋の指定は「家庭ごみの出し方マニュアル」で決まっているので、出す前にご自身の区の版でご確認ください。
同じ木、同じ落ち葉でも、自宅の庭なら家庭ごみ、貸している建物の敷地なら事業ごみ。ここが入れ替わることを知らないまま、何年も集積所に出し続けている物件があります。
燃やすのは、いちばんやってはいけない
「昔は燃やしていた」という話をよく聞きます。いまは刑事罰の対象です。
廃棄物処理法第16条の2は「何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない」と定め、第25条第1項第15号が、これに違反して廃棄物を焼却した者を5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方としています。未遂も罰せられます(同条第2項)。
例外は政令で決められていて、施行令第14条が5つ挙げています。そのうち身近なのは第5号の「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの」です。ただ、これは日常生活の話です。事業として持っている建物の敷地から出た刈草を、袋にして何度も燃やす行為が「日常生活を営む上で通常行われる」に入るかは、当然に言えることではありません。
さいたま市は、家庭の庭木についてすら「野焼きは煙の臭いが洗たく物や布団につく、ぜん息の症状が悪化してしまうなど、ご近所からの苦情の原因となることがあります」として、焼却によらない方法を求めています。近隣とのトラブルを避けるための記事で、火をつける選択肢は最初から外してください。

さいたま市は、事業系の剪定枝を市の施設で受け取らなくなりました
ここが2024年以降で変わったところです。さいたま市は、事業活動に伴う一般廃棄物の焼却量を減らすため、令和6年10月1日から事業活動に伴う剪定枝・刈草等を民間の木くずリサイクル施設へ持ち込むこととし、令和7年4月1日に市清掃センターでの受入れを停止しました。
対象は、剪定枝/草、わら、つる、落ち葉/竹です。落ち葉も竹も入っています。持ち込み先として市が挙げているのは次の3施設で、事前連絡のうえ持ち込みます。
- 有限会社みどりサービス(剪定枝)/緑区大字南部領辻
- 有限会社太盛(剪定枝・刈草類)/浦和区大原
- 株式会社藤榮商事(剪定枝・刈草類)/岩槻区末田
リサイクル施設で受け入れられないと判断された場合は「一般廃棄物(木くず)の処理不適等確認書」が発行され、それがあり、かつ市が処理できる木くず類(太さ10センチ未満、長さ90センチ未満)であれば市清掃センターに持ち込めます。順番が逆にならないよう気をつけてください。まず民間、断られてから市です。
自分で運ばない場合は、市の許可を受けている一般廃棄物収集運搬業者に委託します。共用部の掃除を誰に頼むかという話はアパートの草刈り・ゴミ置き場・共用清掃は誰がやるか|オーナーの決め方にまとめてありますが、掃除を頼む相手と、集めたものを運ぶ許可を持っている相手は別だという点だけ、ここで足しておきます。
枝と根では、切っていい人が違う
敷地の木が境界を越えているときの条文は、2023年4月1日に変わっています。民法第233条を、越えている側から読み直します。
- 枝(第1項):隣の土地の所有者は、竹木の所有者にその枝を切除させることができる。つまり、切るのはこちらです
- 枝(第3項):ただし、催告したのに相当の期間内に切除しないとき/所有者を知ることができず、または所在を知ることができないとき/急迫の事情があるときは、隣の土地の所有者が自分で切り取れます
- 根(第4項):隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、そのまま切り取ることができます。催告も要りません
実務で誤解が多いのは、この非対称です。「枝も根も、隣が勝手に切ったら違法」と覚えている方がいますが、根は昔から、黙って切られても文句を言えません。逆に枝は、催告が届いた時点で放置すると、こちらの費用や責任の話になり得ます。
落ちた葉が隣家の雨樋を詰まらせているときの話は、受ける側から書いたアパートの雨樋の詰まりを放置すると何が起きるか|築古オーナーが建物と隣地の両方で見る3か所があります。倒木や落枝で人や物に損害が出たときの賠償の枠組みは火災保険だけでは大家の賠償は埋まらない|民法717条に所有者の免責はありませんで扱っています。
道路にはみ出しているときは、別の法律です
隣地ではなく前面道路に枝が出ているときは、民法ではなく道路法の話になります。道路法第43条第2号は「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること」を禁じています。
そのうえで第71条第1項は、この規定に違反している者に対して、道路管理者が工作物その他の物件の改築、移転、除却などを命じることができると定めています。カーブミラーや標識が枝で隠れている、歩行者が車道に出て避けている——そういう状態は、苦情ではなく行政処分の話になり得ます。
道路にかかる枝は、隣地に越えた枝より優先順位が上だと考えてください。相手が個人ではなく、命令を出せる立場だからです。
思いどおりに進まないこともあります
木を切ればいいという話でもありません。都市緑地法に基づいて保存樹・保存樹林の指定を受けている木は、勝手に切れないことがあります。自治体によって制度の有無も名称も違うので、幹回りのある大きな木を切る前には、市区町村の緑地の担当窓口に一度確認してください。
費用も、その年の量で動きます。3施設とも処理料金と受入条件は事前確認とされていて、公表された一律の単価はありません。ここは「いくらです」と書けない部分です。秋になってから3社に問い合わせるより、夏のうちに1社決めて条件を聞いておくほうが、結果として安く済みます。
今日やることを1つだけ選ぶなら
敷地の落ち葉と刈草を、いま誰が、どこへ出しているかを1行だけ確認してください。「管理会社さんが持って行ってくれている」で終わっているなら、その先がどこかを聞きます。家庭ごみの集積所であれば、そこは直すところです。
木の手入れと、出たものの処分と、越境の話は、それぞれ相手が違います。順番に切り分けて、担当を決めるところまでいけば、来年の秋は同じ話をしなくて済みます。判断に迷う部分があれば、市区町村の廃棄物の担当課と、建物の管理を任せている先の両方に、同じ質問をしてみてください。答えが揃わないところが、いま抜けているところです。
出典
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第3条、第16条の2、第25条/同法施行令(昭和46年政令第300号)第14条(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)
- 民法(明治29年法律第89号)第233条(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)。第3項は2023年4月1日施行
- 道路法(昭和27年法律第180号)第43条、第71条(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)
- さいたま市「事業ごみに関する質問集」(更新2020年11月20日)、「剪定枝・大型木製品等の木くず及び刈草類の処理について」(更新2026年7月1日)、「事業系木くず(剪定枝・刈草等)の受入れを停止します」(更新2026年7月14日)、よくある質問「自宅の庭から出た剪定枝や雑草を燃やしてもよいか。」(更新2022年1月24日)
ごみの区分も、道路の扱いも、市区町村ごとに違います。埼玉県・千葉県西部・栃木県南部でも、隣の市に行けば持ち込み先も金額も変わります。この記事はさいたま市の公表内容をもとに書いていますので、ご自身の物件がある市区町村の担当課で、同じ項目を確認してから動いてください。


