アパートの草刈り・ゴミ置き場・共用清掃は誰がやるか|オーナーの決め方

結論からお伝えすると、草刈りやゴミ置き場の管理を「誰がやるか」で悩む前に、その物件で年間どんな作業が発生するかを紙に書き出すことが先です。作業の中身と回数が決まっていないと、管理会社にも業者にも頼みようがなく、見積りも比べられません。

8月のはじめ、入居者から電話が入ります。「駐車場の裏の草がすごいことになっていて、窓を開けると蚊が入ってくるんですけど」。管理を頼んでいる会社に連絡すると、担当者から「草刈りは管理の範囲に入っていないんです」と言われました。契約書を出してみると、たしかに書いてあるのは家賃の集金と入居者対応まで。ここで初めて、誰の仕事でもなかったことに気づきます。

共用部の手入れを誰に頼むかを整理した図。作業の書き出し、オーナー自身、管理会社、清掃造園業者、シルバー人材センター、入居者の当番の6項目を並べている。

まず、共用部で発生する仕事を全部書き出す

アパートの共用部で発生する作業は、まとめて「清掃」と呼んでいると抜け落ちます。分けて書き出してください。

  • ゴミ置き場…収集後のネットの片づけ、はみ出したゴミの整理、床の水洗い、置きっぱなしの粗大ゴミへの対応
  • 草刈り・除草…敷地の周囲、駐車場のまわり、建物の裏側。春から秋に集中する
  • 共用部の掃き掃除…外廊下、階段、玄関まわり、郵便受けの下のチラシ
  • 季節の作業…落ち葉、雪、側溝の泥、植栽の剪定
  • 見回り…電球が切れていないか、放置自転車がないか、掲示物が古くなっていないか

ここまで書き出すと、「月1回で足りるもの」と「年2〜3回でいいもの」が分かれます。この頻度まで決めて初めて、頼む相手を選べます。

頼める相手は、大きく4つ

1. オーナー自身がやる

物件が近く、時間が取れるなら、これがいちばん確実です。行くたびに建物を見られるので、雨染みや不具合にも早く気づけます。

ただし、続かなくなったときに代わりがいないのが弱点です。物件が遠い、本業が忙しい、体力的に草刈りがきつい——このどれかが当てはまるなら、続く形に組み替えておいたほうが安全です。夏の草は、行けない月が2回続くと手に負えなくなります。

2. 管理会社に頼む

管理を委託しているなら、まず管理委託契約書のどこまでが範囲かを読み直してください。清掃や草刈りが含まれているのか、別料金なのか、そもそも対象外なのかは契約によって違います。「管理を任せているから全部やってくれているはず」という思い込みは、あとで行き違いのもとになります。

含まれていない場合でも、頼めば手配してくれることがあります。その場合は、作業の中身と回数を紙に書いて渡すと話が早くなります。

3. 清掃・造園の業者に直接頼む

回数と範囲を決めて発注する形です。決めておきたいのは次の4つです。

  1. どこを(ゴミ置き場だけか、外廊下と階段も含むか、敷地の裏側まで入るか)
  2. 何回(月1回か、隔月か、春と秋の2回か)
  3. 何をもって完了とするか(草は根から取るのか刈るだけか、刈った草の処分は誰が持つのか)
  4. 報告の形(作業後の写真をもらえるか)

とくに刈った草やゴミの処分は、見積りから抜けやすいところです。「作業はしたが草は置いていった」となると、結局オーナーが動くことになります。金額は、この範囲を書いた紙を渡して2〜3社から数量の入った見積りを取り、同じ条件で比べてください。

4. シルバー人材センターに相談する

市区町村ごとにあるシルバー人材センターでは、草刈りや簡単な清掃を頼めることがあります。受けてもらえる作業の種類、対応できる時期、申し込みの手順は地域によって違いますので、物件のある市区町村のセンターに直接お問い合わせください。

高所の作業など、受けられない種類の作業もあります。頼めるものと頼めないものを先に確認し、残りを別の相手に振るという組み合わせ方になります。

入居者に当番をお願いするのはありなのか

「入居者に当番で掃除してもらえばいい」という発想は自然に出てきますが、慎重に考えてください。

  • やる人とやらない人が出たときに、入居者どうしの関係が悪くなる。オーナーが仲裁に入る話になります
  • いったん当番制にすると、やめるときに理由の説明が必要になります。元に戻しにくい
  • 入居時の条件として説明していない場合、あとから義務のように求めるのは無理があります

一般的には、共用部の管理は建物を貸している側の役割と考えられています。契約書にどう書くか、途中から入居者に負担を求められるかといった点は、宅建業者や弁護士など専門家に確認してください。ここは自己流で決めないほうがいい部分です。

お願いするとしても、当番として義務づけるのではなく、「気づいたら教えてください」という形にとどめるほうが、あとで困りません。

担当を決めていない共用部と決めてある共用部を左右で比べた図。左は誰の仕事か曖昧で苦情の電話で動く状態、右は担当と回数が紙にあり先回りで手配できる状態。

費用はどう考えるか

共用部の手入れは、やってもすぐに家賃が上がるものではありません。出ていくだけの支出に見えるので、後回しになりやすいところです。

それでも先に決めておくことをおすすめするのは、放っておいた場合のコストが見えにくい形で出てくるからです。草が伸びて虫の苦情が来る、ゴミ置き場が荒れて内見の印象が落ちる。どれも、あとから急いで直そうとすると余計に手間がかかります。満室なのにお金が残らない築古アパートで書いたとおり、支出は「決めていない部分」から膨らみます。共用部の光熱費も同じ性質のもので、こちらは共用部の電気代が上がったときに確かめる順番にまとめました。

なお、見た目の直し方には順番があります。誰がやるかを決めたあと、何から手をつけるかについてはゴミ置き場が汚い物件は決まらない|共用部の直し方の順番をご覧ください。空室が長い物件なら、昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因もあわせてどうぞ。

まとめ|今日やることを1つだけ選ぶなら

今日やることを1つだけ選ぶなら、管理委託契約書を開いて、清掃と草刈りが範囲に入っているかを確かめてください。入っていれば頻度を確認する、入っていなければ誰に振るかを決める。それだけで、次の夏に電話が鳴るかどうかが変わります。

決めた内容は、誰が・いつ・どこまでを1枚の紙に残しておくと、あとで人が変わっても引き継げます。埼玉・千葉県西部・栃木県南部の築古物件でも、この一枚があるかどうかで、手入れが続くかどうかが変わります。

契約の書き方や、入居者への負担の求め方については、宅建業者や弁護士などの専門家にご相談ください。

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