アパートのブロック塀は今のうちに点検する|オーナーが自分で見られる5項目と専門家に渡す1項目

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、多くの方が被害に遭われました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。消防庁の第43報(2026年8月6日17時00分現在)では、住家被害は全壊699棟、半壊1,045棟、一部破損6,640棟、合計8,384棟と報告されています。数値は速報であり、今後変わることがあります。

埼玉県・千葉県西部・栃木県南部でアパートや戸建をお持ちのオーナーが、この出来事から持ち帰れる話がひとつあります。建物本体の耐震とは別に、敷地のブロック塀には、専門家を呼ばずに自分で確認できる項目があるということです。

結論からお伝えすると、国土交通省が示しているブロック塀の点検項目は6つで、そのうち5つは外から見て確かめられます。必要なのはメジャーとスマホだけ。残る1つは鉄筋と基礎の話なので専門家に見てもらいます。

自分で確かめられるブロック塀の5項目。高さは地盤から2.2m以下か、厚さは10cm以上か、控え壁はあるか、コンクリートの基礎があるか、傾きやひび割れはないかを示した図

なぜ塀の話を先にするのか

建物の耐震補強は、費用も判断も大きくなります。旧耐震のアパートを持ち続けるリスクと選択肢で扱ったとおり、すぐには決められない種類の判断です。

一方で塀は、規模が小さく、確認だけなら今日できます。それに、塀は道路や隣地に面しています。倒れたときに影響が及ぶ相手が、自分の入居者だけではありません。手が届くところから先に見る意味があります。

自分で確かめられる5項目

国土交通省が公表している「ブロック塀の点検のチェックポイント」は、日本建築防災協会のパンフレットをもとに、2018年6月の通知に添付されたものです。外観で確認する項目は次の5つです。

  1. 塀は高すぎないか——地盤から2.2m以下かどうか
  2. 厚さは十分か——10cm以上か。高さが2mを超えて2.2m以下なら15cm以上
  3. 控え壁はあるか——高さが1.2mを超える場合、塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの5分の1以上突き出した控え壁があるか
  4. 基礎はあるか——コンクリートの基礎があるか
  5. 塀は健全か——傾き、ひび割れはないか

3番目が、築古物件でいちばん引っかかる項目です。たとえば道路面から測って高さ1.6m、長さが12mある塀なら、3.4mごとに必要なので控え壁は最低3か所。突き出しは高さの5分の1以上なので32cm以上です。端に1か所だけ立ち上がりがある状態では足りていません。

塀の前でメジャーを当て、控え壁の枚数を数える。ここまでで5分もかかりません。

れんが造や石積みの塀は基準が違うのか

違います。れんが造、石造、鉄筋の入っていないブロック造は「組積造の塀」として別の基準が示されており、こちらのほうが厳しくなっています。

  • 高さは地盤から1.2m以下
  • 塀の長さ4m以下ごとに、塀の厚さの1.5倍以上突き出した控え壁があるか
  • 厚さは十分か、基礎はあるか、傾きやひび割れはないか

昭和に建てられた物件では、途中までブロックで上に別の材が積まれた塀を見かけることがあります。どちらの基準で見るべきか判断がつかない場合は、この時点で専門家に相談してください。

6項目目は自分では見えない

残る1つは鉄筋と基礎の根入れです。国土交通省の資料では、専門家に相談する項目として次の内容が挙げられています。

  • 塀の中に直径9mm以上の鉄筋が、縦横とも80cm間隔以下で配筋されているか
  • 縦筋は壁の頂部および基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか
  • 基礎の根入れ深さは30cm以上か(塀の高さが1.2mを超える場合)

表面からは分かりません。1〜5のどれかが不適合だった場合や、見て分からないことがあった場合は、そこで止めて専門家に相談する——という順番が資料にも示されています。この記事では、あなたの塀が危険かどうかは判定できません。寸法と外観を確かめたら、その先の診断は建築士や自治体の建築指導課へ渡してください。

合っていない項目が見つかったときに動く順番。寸法と外観を写真に残す、市区町村の建築指導課に電話する、撤去費の補助制度を確認する、交付決定を待ってから工事を頼む、診断は建築士に依頼するの5段階を示した図

直すか撤去するかを決める前に確かめること

不適合が見つかった場合、改修か撤去かという話になります。その前に確かめてほしいことがあります。撤去費の一部を補助する制度を設けている自治体があります。

たとえば埼玉県入間郡毛呂山町では、道路等に面した塀のうち建築基準法施行令に適合しないもの、または高さ0.8m以上で劣化や損傷が著しく地震により倒壊するおそれがあるものを対象に、撤去工事費の合計額と「見付面積1㎡あたり1万円」の少ない方・上限10万円を補助する制度が案内されています。交付決定の前に工事をすると対象外になり、年度の予算に達した時点で受付が終わります。

名称も金額も要件も自治体ごとに違い、通学路に面した塀を対象にしている市もあります。先に工事を頼まず、市区町村の建築指導課に「うちの塀は対象になりますか」と1本電話を入れるのが正しい順番です。

塀が倒れたら誰の責任になるのか

一般的には、土地の工作物の設置や保存に不備があって他人に損害を与えた場合、その工作物を占有・所有する側が責任を問われる考え方があります。塀もこれに当たり得ます。個別の事案での判断は状況によって変わります。責任の範囲は弁護士へ、保険で備えられる範囲は加入中の保険会社へ確認してください。塀や外構が特約の対象になるかは契約ごとに違います。確認の仕方は築古アパートの火災保険|更新の前に確認する5つのことにまとめています。

今日からできる3つのこと

  1. メジャーとスマホを持って塀の前に立つ。高さ・厚さ・控え壁の数を測って写真に残す
  2. 傾きとひび割れを見る。目地に沿った割れ、根元の浮き、上端の欠け
  3. 1つでも合っていなければ、市区町村の建築指導課に電話する。補助制度の有無と診断を頼める先を同時に聞く

塀は、点検しても入居率は上がりません。それでも、後から取り返せない種類のものです。外まわりを後回しにしたときに何が起きるかは外壁と屋根の修繕を後回しにすると何が起きるか、敷地の境目については私道と境界、越境をいつ確認するかで扱っています。

※ 被害状況は2026年8月6日時点の公表情報に基づきます。制度や状況は変わりますので、最新の情報は各機関の発表をご確認ください。

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