築古の1Kと2DK、どちらが埋まりやすいか|間取りで変わる客層

結論からお伝えすると、1Kと2DKのどちらが埋まりやすいかは、間取りでは決まりません。その場所に誰が住みたがっているかで決まります。同じ2DKでも、大学と工場に囲まれた立地と、小学校と大きなスーパーに囲まれた立地では、来る人がまったく違います。だから探すべきは「どちらが有利か」という答えではなく、自分の物件の周りで誰が部屋を探しているかを、自分で確かめる手順です。

2月の終わり、2DKの角部屋が空く。3月が過ぎ、4月が過ぎる。5月の連休が明けて仲介に電話をすると、担当者はこう言った。「内見はあったんですけどね。奥さんが、この壁を抜けないかって」。同じ建物の1Kは3月中に決まっていて、こちらは3か月動かない。ここで「2DKだから決まらないんだ」と結論を出すと、次の一手が壁を壊す工事の見積りになります。その前に確かめられることが、いくつも残っています。

1Kか2DKかを自分で確かめる6つの手がかりの図。周辺の募集を並べる、2週間後にもう一度検索する、過去の契約書を出す、退去の理由を書き出す、仲介3店舗に同じ質問をする、手元に残る金額で比べる。

間取りが決めているのは、広さではなく「誰が住むか」

部屋の広さの話に見えて、実際に動いているのは客層です。

  • 1K・1DK:ひとりで住む人。学生、単身の社会人、単身赴任。荷物が少なく、決めるのが速い傾向があります
  • 2DK・2K:ふたり以上、または「ひとりだけど部屋を分けて使いたい」人。在宅で仕事をする、荷物が多い、楽器や趣味の道具がある、といった事情が乗ってきます
  • 2LDK以上:家族。学区、駐車場の台数、買い物の距離が条件に入ってきます

ここで大事なのは、どちらが多いかは全国平均の話ではなく、その駅・そのバス停・その通り沿いの話だということです。統計を見ても、自分の物件の前を歩いている人は分かりません。

自分の物件では、どちらが向いているのか

調べる方法は、机の上で完結します。

手がかり1:同じエリアで今出ている募集を並べる

賃貸のポータルサイトで、自分の物件から半径をいくつか区切って検索します。見るのは家賃ではなく件数と滞留です。

  1. 1Kの募集が何件、2DKの募集が何件出ているか
  2. そのうち「築30年以上」に絞ると、それぞれ何件残るか
  3. 同じ部屋が2週間後・1か月後にも出ているか(同じ画像・同じ間取り図で確認できます)

残り続けている間取りは、そのエリアで供給が多すぎるか、条件が合っていないかのどちらかです。これは平均の数字より、はるかに自分の物件に近い情報です。

手がかり2:これまで住んでいた人を並べる

過去の契約書を出して、部屋ごとに書き出します。

  • 単身か、ふたり以上か
  • 勤務先や学校がどこだったか(申込書に書いてあります)
  • 何年住んだか
  • 退去の理由(転勤、結婚、実家に戻る、など分かる範囲で)

ここに偏りが出ます。単身ばかりが3代続いている部屋と、ふたり暮らしが長く続いた部屋では、次に狙う相手が違います。長く住んでもらう相手をどう選ぶかは 築古アパートは誰に貸すか にまとめています。

手がかり3:仲介に「どっちを聞かれるか」を聞く

反響の数字はオーナーには見えませんが、店頭にいる人には見えています。聞くのは1つだけで足ります。「この物件の周りで、いま何を探している人が多いですか」。店によって答えが割れることもあります。その場合は3店舗に聞いて、共通している部分だけを採用してください。

1Kと2DKで、オーナーの手間はどう変わるか

入居のしやすさとは別に、持ち続けたときの負担が変わります。ここは都合の悪い話も含みます。

  • 入れ替わりの回数:単身向けは短い期間で入れ替わることがあります。回転するたびに原状回復と募集が発生します
  • 原状回復の面積:部屋が広いほど、クロスや床の数量が増えます。6畳間なら壁と天井で25〜30㎡が目安です。実際に払う総額は材料・下地の状態・現場の条件で変わるので、数量の入った見積りを2〜3社から取って比べてください
  • 設備の数:部屋が増えれば、エアコンやコンセントの数も増える方向になります
  • 家賃の絶対額:広い部屋のほうが高く貸せる代わりに、空いたときに止まる金額も大きくなります

「決まりやすさ」だけで判断すると、この部分が抜け落ちます。手元に残る金額で比べてください。

間取りを変える前の4手順の図。壁が抜けるかを建築士や施工業者に現地で見てもらう、いくらで貸すつもりかを先に決める、工事をしないで試せることを全部やる、上がる家賃で割って回収に何年かかるかを出す。

間取りを変えるかどうかを決める前に

2DKの壁を抜いて1LDKにする、2部屋をつなげて広くする。工事の話が出てきたら、その前に順番があります。

  1. その壁が抜けるかを確かめる:構造上の壁は抜けません。建築士や施工業者に現地を見てもらってください。図面だけで判断しないことです
  2. 抜いたあとに何円で貸すつもりかを先に決める:工事のあとに家賃を決めると、かかった金額から逆算してしまいます
  3. 工事をしないで試せることを全部やったか:条件、写真、家具の見せ方、募集の出し方。家賃を下げる前に試す4つの手 の内容は、間取りを変える前にも同じように効きます
  4. 回収に何年かかるかを出す:上がる家賃が月3,000円なら、年36,000円です。工事の見積り額をこれで割ってください

和室が残っている部屋なら、間取りより先に床と壁の話になることもあります。判断材料は 和室を洋室に変えるか、水まわりが理由になっているなら 3点ユニットの部屋はもう決まらないのか を先に読んでください。

まとめ

1Kと2DKに優劣はありません。あるのは、その場所で探されている間取りと、探されていない間取りの差です。埼玉・千葉県西部・栃木県南部でも、駅ひとつ違えば単身が中心の街とファミリーが中心の街に分かれます。だから「築古の2DKは不利」という言葉を、自分の物件に当てはめないでください。当てはまるかどうかは、上の3つの手がかりで確かめられます。

今日やることを1つだけ選ぶなら、ポータルサイトで自分の物件の周辺を検索して、1Kと2DKの募集件数をメモしてください。2週間後にもう一度同じ検索をすれば、どちらが動いていないかが見えます。間取りを変える工事ができるかどうかの判断は、建築士や施工業者に現地を見てもらってからにしてください。

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