管理会社を変更するときの引き継ぎ書類|築古アパートのオーナーが受け取る一覧
結論からお伝えすると、管理会社を切り替えるときに受け取り漏れが起きやすいのは、賃貸借契約書そのものではなく敷金の預り残高・保証会社の契約・点検の記録・鍵の本数です。どれも引き継ぎが終わってから探すと往復が増えます。切り替えを決めた時点で一覧にして渡し、期日を添えて頼むのが、いちばん手間の少ないやり方です。
4月半ばの引き継ぎ当日、宅配便で段ボールが1箱届きます。開けると賃貸借契約書のコピーが8部と、入居者の一覧が1枚。新しい担当者から電話が入ります。「合鍵は何本お預かりする形になりますか」。手元の紙に鍵のことは書かれていません。前の会社に聞けば分かるのですが、先方はもう引き継ぎを終えたつもりでいます。ここから往復が始まり、翌週になっても本数が確定しない、ということが起こります。
なぜ引き継ぎの日に頼むと間に合わないのか
書類は、その会社の中でも一か所にまとまっていないことがあります。契約書はファイル棚、入金の履歴は会計のシステム、点検の報告書は担当者の引き出し、鍵は金庫。担当者が替わっていれば、社内で探すところから始まります。
そのため「当日にまとめて受け取る」形にすると、足りないものが当日に判明します。先に一覧を渡して、いつまでに何を、と決めておくほうがお互いに楽です。出てこないのは、探す時間を確保していないだけ、という場合があります。

受け取り漏れが起きやすい書類の一覧
3つのかたまりに分けて頼むと、抜けに気づきやすくなります。
1. 入居者と契約に関するもの
- 賃貸借契約書(原本かコピーか、どちらを受け取るかも決めておく)
- 更新契約書・覚書・特約の書面(本体だけだと条件が古いままになります)
- 入居申込書、入居者名簿(連絡先・勤務先・緊急連絡先)
- 連帯保証人の資料、保証委託契約の書面
- 家賃保証会社の契約内容・加入証・請求の窓口
- 駐車場・駐輪場・物置など、住戸以外の契約
- ペットや楽器など、個別に認めている取り決めの書面
保証会社は特に確認しておきたいところです。加入していることは分かっても、どこまでが対象で、請求にどんな手続きと期限があるのかは契約ごとに違います。詳しくは家賃保証会社は築古物件でも使えるのかでも触れています。
2. お金に関するもの
- レントロール(部屋ごとの賃料・共益費・契約期間・入居日)
- 敷金・保証金の預り残高(部屋ごとの金額と、すでに充当したぶんの明細)
- 滞納の有無と、これまでの入金の履歴
- 過去1年ぶんの送金明細と、そこから引かれている費用の内訳
- 入居者の振込先口座(切り替えの案内を出す必要があります)
- 建物の火災保険・施設賠償の証券と満期日、入居者側の加入状況
敷金は預かっているお金です。残高が分からないまま引き継ぐと、退去の精算で止まります。収支の中身を整理する話は満室なのにお金が残らない築古アパートにまとめました。
3. 建物と設備に関するもの
- 図面(平面図・配置図・あれば竣工図や測量図)
- 設備の保証書と取扱説明書、給湯器やエアコンの型番と設置した年
- 修繕の履歴、過去の見積書と請求書
- 消防設備点検の報告書、浄化槽の保守点検・清掃・法定検査の記録
- 貯水槽やポンプの清掃記録、シロアリ防除の施工履歴
- 共用部の電気・水道の契約(名義と引き落とし口座)
- ゴミ集積所のルール、自治会や近隣との取り決め、清掃・設備業者の連絡先
設置した年が分かると次の交換の見当がつきます。基準は給湯器とエアコンはいつ交換するかに書きました。点検の記録が無いときの見方は築古アパートのシロアリと給排水管はいつ点検するかが参考になります。
鍵は書類ではないが、いちばん確認しておきたい
鍵は数え間違いが起きやすく、あとから確かめる手段が少ない項目です。次の形で紙に書いてもらいます。
- 部屋ごとの本数(何号室の鍵が何本あるか)
- 種類(玄関・宅配ボックス・共用部・ポスト・物置・門扉)
- マスターキーの有無と、その保管者
- シリンダーを交換した部屋と、その時期
誰が鍵を持っているのかが曖昧なままだと、退去のときにも空室の案内のときにも引っかかります。鍵の置き場所が募集にどう効くかは築古物件で「鍵が現地対応でない」ことがどれだけ機会損失になるかで扱いました。
いつ、誰に、どう頼むか
順番はこうなります。
- 今の管理委託契約書を先に開く。解約の申し入れ方法と予告の期間が書かれています。ここは契約書の中身で決まるので、一般論では判断できません
- 読んで分からないところは、宅建業者や弁護士に見てもらう
- 申し入れをしたら、上の一覧を表にして渡し、いつまでに何を、を書き添える
- 入居者への案内(振込先や連絡先の変更)を、どちらがいつ出すか決める
- 受け取ったらその場で一覧に印を付け、足りないものはその日に伝える
依頼はメールなど残る形にしておくと、あとで「言った・聞いていない」になりません。相手を疑うためではなく、担当者が替わっても引き継げるようにするためです。

それでも揃わないものがあります
頼んでも出てこないものがあります。
- 古い建物では、図面や竣工時の資料が残っていないことがあります
- 修繕の履歴が、金額だけで内容の分からない形になっていることがあります
- 再発行に費用や日数がかかるもの(保険証券や測量図など)があります
揃わないものは「無い」と書いた一覧を残しておくと、次の管理会社と認識を合わせられます。何が無いのかを知っているかどうかで、退去や工事が起きたときの動きが変わります。どこまで引き渡してもらえるかは契約や書類の性質で変わるため、揉めそうなときは早めに宅建業者や弁護士へ。
まとめ
受け取るものは契約・お金・建物の3つに分かれます。中でも敷金の残高、保証会社の契約、点検の記録、鍵の本数は、あとから確かめにくい項目です。埼玉・千葉県西部・栃木県南部の築古物件では当時の資料が残っていないこともあるので、無いものを確定させる作業も一緒に考えておくと安心です。
今日やることを1つだけ選ぶなら、今の管理委託契約書を開いて、解約の申し入れ方法と予告期間の欄を読むことです。ここが分からないまま次の会社と話を進めると、期間が重なったり空いたりします。なお契約の解釈や書類の引き渡しの取り扱いは一般的な内容にとどまりますので、実際の判断は宅地建物取引業者や弁護士にご確認ください。


