築古アパートのシロアリと給排水管はいつ点検するか|オーナーが見る場所とタイミング
結論からお伝えすると、シロアリと給排水管の点検は「毎年何月にやる」と決めるより、区切りのタイミングに紐づけたほうが続きます。いちばん条件がいいのは退去した直後です。部屋が空いていて、床下も入れて、入居者に迷惑がかかりません。
4月の夕方、1階の入居者から電話が入る。「窓のところに、羽の生えた虫がたくさん出ています」。翌日に見に行くと、サッシの下に細かい羽が落ちている。風呂の入口の床を踏むと、少し沈む。羽アリが出た時点で、そこにいるのは今年からではありません。床のたわみは、たいてい先に出ていた合図です。

シロアリはどこを見るのか
築古の木造で見る場所は決まっています。共通しているのは「水がある」「木が湿る」「土に近い」の3つです。
- 風呂・洗面の入口の床:踏むと沈む、床材がふかふかする
- 玄関の上がり框(あがりかまち)とその下:土に近く、雨が入りやすい
- 台所の流し台の下:配管まわりの湿り、木部の変色
- 床下と縁の下:土の筋(蟻道)が基礎や木に上がっていないか
- 雨がかかる木部:外階段の下、濡れ縁、破風
- 敷地内の木の物:古い切り株、木の杭、置いたままの廃材
見つけたいのは虫そのものではなく、痕跡です。基礎や柱に土が細く筋状に付いていれば蟻道です。木を叩いて軽く乾いた音がすれば中が空いている可能性があります。羽アリの羽が同じ場所にまとまって落ちているのも合図で、一般に、羽アリが飛ぶのは春から初夏にかけての時期です。
被害の程度と、建物の構造にどこまで影響しているかは、見た目では判断できません。防除業者と、必要なら建築士に見てもらってください。ここは断定できない領域です。
薬剤を入れたことがある物件は、それで安心なのか
いいえ。防蟻の薬剤は効果が永久には続きません。施工した会社の保証期間が設定されているのが一般的で、多くは施工から数年です。まず保証書を探して、年数と対象範囲を確認してください。前のオーナーから引き継いだ物件だと、書類ごと引き継がれていないこともあります。その場合は「不明」として、点検の対象に入れてください。
給排水管はどこを見るのか
築古で費用が大きくなりやすいのは、こちらです。そして、壁と床の中にあるので目で見えません。見えるのは症状だけです。
給水(お湯・水が来る側)
- 赤い水が出る:しばらく使っていない蛇口を開けたときに濁る
- 水圧が落ちた:同時に使うと極端に細くなる
- 水道メーターが回り続ける:室内の水を全部止めてもパイロットが動いていれば、どこかで漏れています
- 昭和築は配管の材質を確認する:古い金属管は内側から腐食が進みます。図面か、水道の業者に見てもらうと分かります
排水(流れていく側)
- 流れが遅い:洗面・浴室・台所のどこか1か所だけか、全体か
- においが上がる:長く空室にした部屋は、封水が乾いているだけの場合もあります
- 床下から水音がする
- 屋外の汚水枡:蓋を開けて、詰まりや溢れがないか見る。ここはオーナー自身で確認できます
高圧洗浄をいつやったかの記録を探してください。周期は物件の状態と使い方で変わるので一律には決まりませんが、「前回いつやったか分からない」状態が続いているなら、それ自体が優先度の高い状態です。

いつ点検すればいいのか
4つの区切りに紐づけると、忘れません。
- 退去した直後:最良のタイミング。床下に入れて、水を全部止めてメーターも確認できる。原状回復の見積りと一緒に頼めます
- 春から初夏:羽アリの時期。1階の入居者に「羽の生えた虫を見たら教えてください」と伝えておく
- 台風の前後:屋外の汚水枡、排水の詰まり、雨がかかる木部
- 冬の前:屋外の露出配管の凍結対策。保温材が割れていないか
退去のタイミングで一緒に見ておく項目は 給湯器とエアコンはいつ交換するか|築古アパートのオーナーが壊れる前に決める基準 にもまとめています。空き家になっている物件は水が流れず風も通らないため、症状が出ても誰も気づきません。空き家になった実家を賃貸に出すまでの流れ の点検の順番が使えます。
見つかったときは、何から手を付けるか
全部を同時にやる必要はありません。危険と、広がるものを先に止めます。
- 先にやる:漏水(今も水が出ている)/床の踏み抜きの恐れ/シロアリの活動が確認された箇所
- 順番を決めてやる:配管の更新、床の張り替え、防蟻の再施工
- あとでよい:見た目の補修、内装の仕上げ
そして、直す範囲が建物全体に及ぶ規模なら、直す前に持ち続けるかどうかを一度並べてください。配管の全更新と床の全面やり直しが同時に必要な状態は、判断のタイミングです。材料は 築40年のアパートはリフォームか建て替えか|オーナーが判断する5つの基準 と 旧耐震のアパートを持ち続けるリスクと選択肢 にあります。
まとめ
シロアリと給排水管は、出てから直すと費用が跳ね、入居者にも迷惑がかかります。見えないものを見ようとするより、症状が出る場所を決めておいて、区切りのタイミングで確かめるほうが現実的です。
今日やることを1つだけ選ぶなら、物件の防蟻の保証書と、前回の高圧洗浄の記録を探してください。見つからなければ「不明」と書いて、次の退去のときに見る欄を作る。それが点検の始まりです。被害の程度や建物の構造に関わる判断は、必ず防除業者・建築士などの専門家にご確認ください。


