家賃保証会社は築古物件でも使えるのか|オーナーが加入前に決める6つのこと

結論からお伝えすると、家賃保証会社の審査は、建物の築年数ではなく入居者を見ています。だから築40年でも50年でも使えます。オーナーが決めておく必要があるのは物件の側ではなく、保証料を誰が払うか・保証の範囲をどこまでにするか・既存の入居者をどうするかです。

申込書が届く。勤務先、勤続年数、緊急連絡先。連帯保証人の欄だけが空欄で、余白に手書きで一行ある。「保証人を頼める親族がおりません」。仲介の担当者から電話が入る。「保証会社を使う形で進められますか」。ここで即答できないと、その申込は次の物件へ流れていきます。3か月ぶりに来た申込だった、ということが築古の物件では起こります。

家賃保証会社を使う前にオーナーが決める6点の図。どの保証会社を使うか、保証料を誰が払うか、更新のときの費用、連帯保証人も併せて求めるか、保証の範囲はどこまでか、既存の入居者にも広げるか。

保証会社は何を審査しているのか

審査の対象は入居者本人です。おおむね次のところを見ています。

  • 本人確認と収入の見通し:勤務先・勤続年数・収入と家賃の釣り合い
  • 過去の家賃の支払い状況:保証会社によっては、加盟する会社の間で共有される情報を参照します
  • 緊急連絡先:連帯保証人と違って支払いの責任は負いませんが、連絡がつくことが求められます

建物の築年数そのものが審査の中心になることは、一般にありません。保証会社が負っているのは家賃が入らないリスクで、それは部屋の古さではなく人の支払能力に紐づいているからです。

築40年の部屋でも断られないのか

物件が古いことを理由に断られる、という形にはなりにくいです。ただし、審査に通るかどうかは入居者ごとに変わります。そして保証会社によって、審査の基準も扱う契約の範囲も違います。「この物件は使えますか」ではなく「この申込は通りますか」が正しい問いです。

もう一つ。賃料が安い部屋では、保証料の最低金額が相対的に重く感じられることがあります。誰が払うのかを決めていないと、ここで話が止まります。

オーナーが先に決めておく6つのこと

  1. どの保証会社を使うか:管理を委託しているなら、管理会社が提携している会社になるのが一般的です。自主管理なら自分で加盟の手続きをします
  2. 保証料を誰が払うか:入居者の負担が一般的ですが、初期費用が重く見える物件では、オーナー負担にして募集条件を軽くする選択もあります
  3. 更新のときの費用をどうするか:一定期間ごとに更新料がかかる形が多いです。契約書に書いていないと、更新のたびに揉めます
  4. 連帯保証人も併せて求めるか:両方求めると入居のハードルが上がります。募集の状況を見て決めます
  5. 保証の範囲をどこまでにするか:家賃だけか、原状回復の費用や訴訟の費用まで含むのか。プランで変わります
  6. 既存の入居者にも広げるのか:これからの契約だけにするか、保証人だけの古い契約も切り替えていくか

初期費用の総額が重く見えていないかは 消毒料は必要か|オーナーが見直す初期費用の中身 と一緒に確認すると効きます。申込が来ない状態が続いているなら、原因の切り分けは 昭和築アパートの空室が埋まらない5つの原因 が先です。

保証会社に入っていても起きること

ここは都合の悪い話ですが、先に知っておいたほうがいい部分です。

  • 滞納そのものは止まりません。保証会社が立て替えるのでオーナーには家賃が入りますが、入居者が払えていない状態は続いています
  • 請求には手続きと期限があります。報告が遅れると、対象から外れることがあります。いつまでに何を出すのかを、加入するときに必ず確認してください
  • プランによって対象外の費用があります。原状回復の費用や残置物の処分が含まれない契約もあります
  • 退去してもらう手続きは別の話です。建物の明渡しに関する範囲と費用の扱いは契約ごとに違い、法的な手続きの判断は弁護士にご相談ください

つまり、入っておけば安心という道具ではありません。範囲と手続きを知らないまま入ると、いざ滞納が起きたときに使えません。

連帯保証人だけの場合と保証会社を使う場合の比較図。保証人だけは費用がかからないが頼める人がいない申込を逃し、高齢化で連絡がつかなくなる。保証会社は立て替えで家賃が入るが請求に手続きと期限があり、対象外の費用がプランで決まる。

保証人だけの古い契約は、どう切り替えるか

昭和や平成の初めから続いている契約では、連帯保証人だけで保証会社に入っていない入居者がいます。ここで大事なのは、オーナーの側から一方的に契約の条件を変えることはできない、という前提です。

現実的なのは次の順番です。

  1. 契約の更新のタイミングを使う:更新の案内と一緒に説明します。突然申し入れるより受け入れられやすくなります
  2. 保証人が高齢・連絡がつかない契約から声をかける:本当に困るのはここです。保証人が亡くなっている契約は、実質的に保証がない状態です
  3. 費用をオーナー側が持つ選択も並べる:入居者に「値上げされた」と受け取られると、長く住んでくれている関係が壊れます

契約条件の変更が法律上どこまで可能かは、個別の契約書の内容によります。動く前に宅建業者や弁護士にご確認ください。ここはオーナーが自分で線を引く場所ではありません。

長く住んでいる入居者は、築古物件では資産です。誰に貸すかの考え方は 築古アパートは誰に貸すか、家賃が入っていても手元に残らない場合の見直しは 満室なのにお金が残らない築古アパート にまとめています。

まとめ

家賃保証会社は、築古だから使えないということはありません。むしろ、保証人を頼める人がいない申込を取りこぼさないための道具です。埼玉・千葉県西部・栃木県南部でも、保証人を頼める親族がいないという申込は実際に来ます。保証人を必須にしたままだと、その層をまるごと外すことになります。

今日やることを1つだけ選ぶなら、今ある契約のうち、保証会社に入っていない部屋が何室あるかを数えてください。そのうえで、保証人の連絡先が今も生きているかを確認する。ここが分かると、次の更新で何をすればいいかが決まります。契約条件の変更や法的な手続きの判断は、宅建業者・弁護士などの専門家にご相談ください。

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