登記の床面積は壁の中心線、募集図面は切り捨て可です|築古アパートのオーナーが並べる3つの面積

結論からお伝えすると、登記簿の床面積と募集図面の面積が違うのは、測り方が違うからではなく、切り捨てる桁が違うからであることがほとんどです。登記は小数点2けたまで残し、募集図面は1平方メートル未満をまるごと切り捨ててよいことになっています。26.87平方メートルの部屋を「26平方メートル」と書いても、規約違反ではありません。

ただしそれは「切り捨てて表示することができる」と書いてあるだけで、義務ではありません。0.87平方メートルは、書かなければ無かったことになります。築古アパートの1Kで1平方メートル近い差は、隣の物件と並んだときに効きます。この記事では、登記・建築基準法・募集図面の3つが面積をどう定義しているかを条文で並べます。

床面積の3つの物差しを並べた図。登記は壁の中心線、建築基準法も中心線、募集図面は1平方メートル未満を切り捨てできる。

登記の床面積は「壁の中心線」で測ります

不動産登記規則115条の全文です。

建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

ここに3つの決まりが入っています。

  • 各階ごとに測る(建物全体を一度に測るのではない)
  • 壁その他の区画の中心線で囲まれた水平投影面積(かっこ書きで、区分建物だけは内側線)
  • 1平方メートルの100分の1未満は切り捨て(つまり小数点2けたまで残る)

この「中心線」が、いわゆる壁芯です。アパートの1棟は区分建物ではないので、登記も壁の中心線で測っています。内側線で測るのは、分譲マンションのように1室ずつ登記が分かれている建物だけです。かっこ書き1つで、同じ規則が2つのものさしを持っています。

建築基準法の床面積も、同じ「中心線」です

建築基準法施行令2条1項3号は、床面積を「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による」と定めています。不動産登記規則115条の前半とほとんど同じ文です。

つまり、区分建物でないアパートでは、確認申請の図面の床面積と、登記簿の床面積は、同じ測り方で出た数字です。それでも一致しないことがあるとすれば、原因は測り方ではなく、次のようなところにあります。

  • 確認申請のあとに増築・改築があり、登記に反映されていない
  • ロフト・出窓・下屋・庇の下など、区画として囲まれているかの判断が分かれた部分がある
  • 建てたあとに実測して、図面と数センチずれていた

同じ令2条1項の別の号も、あわせて覚えておくと話が早くなります。1号は敷地面積を「敷地の水平投影面積による」としたうえで、42条2項などでセットバックが必要な部分は算入しないと書いています。2号の建築面積は外壁または柱の中心線ですが、中心線から水平距離1メートル以上突き出た軒やひさしは、その端から1メートル後退した線で測ります。建ぺい率の話をするときの「建築面積」は、床面積とは別のものさしです。

募集図面の面積は、どこまで切り捨ててよいのですか?

賃貸の募集広告は、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)とその施行規則に従って作られます。面積のきまりは表示規約15条(6)を受けた施行規則9条(13)から(16)です。

  • (13) 面積は、メートル法により表示すること。この場合において1平方メートル未満の数値は、切り捨てて表示することができる
  • (14) 土地の面積は、水平投影面積を表示すること
  • (15) 建物の面積(マンションにあっては、専有面積)は延べ面積を表示し、これに車庫、地下室等(地下居室は除く。)の面積を含むときは、その旨及びその面積を表示すること
  • (16) 住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること

(13)の語尾は「できる」です。切り捨てなければならないとは書いていません。ここが実務では効きます。26.87平方メートルの部屋を26平方メートルと書くのも、26.87平方メートルと書くのも、どちらも規約の中です。ポータルサイトの絞り込みは「25平方メートル以上」のような区切りで動くので、切り捨てで境目を割ると、検索の結果から落ちます。

(16)の畳数の側は、壁心面積を畳数で割った数字と書かれています。畳数と収納の見せ方は収納が少ない部屋はどう募集するかで扱っているので、この記事は面積の数字そのものに絞ります。間取りの表記のほうは大家が間取り図を書き直すと反響は変わるかにまとめてあります。

表示規約23条が引いている線を比べた図。広く見せる書き方は不当表示、実数のまま書くのは切り捨てが義務でないため可能。

広く書くほうは、はっきり禁じられています

表示規約23条は「その他の不当表示」として、してはならない広告表示を並べています。面積についてはこうです。

(8) 物件の面積について、実際のものよりも広いと誤認されるおそれのある表示

同じ23条には「(10) 建築基準法上の居室に該当しない部屋について、居室であると誤認されるおそれのある表示」も並んでいます。切り捨てて狭く書くのは規約の中、切り上げて広く書くのは不当表示、という非対称になっています。迷ったら実数を書くのが、いちばん安全で、いちばん広く見えます。

あわせて、施行規則9条(19)は「地目は、登記簿に記載されているものを表示すること。この場合において、現況の地目と異なるときは、現況の地目を併記すること」と定めています。募集図面に登記の数字を持ち込むのが原則で、現況が違えば併記する。面積についても同じ構えで見るとわかりやすくなります。

土地の面積は、傾いていると小さく出ます

建物ではなく土地の側にも、同じ型の話があります。不動産登記規則100条です。

地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル)未満の端数は、切り捨てる。

ここも2つあります。1つは水平投影面積であること。斜面は真上から見た面積で数えるので、実際に歩く面積より登記の地積は小さくなります。もう1つは切り捨ての桁が地目で変わることで、宅地は小数点2けたまで、宅地と鉱泉地以外で10平方メートルを超えるものは1平方メートル未満を切り捨てです。同じ「切り捨て」でも、宅地と山林では残る桁が違います。

表示規約施行規則9条(14)も土地は水平投影面積と書いているので、ここは登記と募集で一致します。固定資産税の課税明細書に載る地積との突き合わせは固定資産税の課税明細書の見方は6つの欄からをご覧ください。

今日やることを1つだけ選ぶなら

いま出ている募集図面と、登記事項証明書を並べて、専有部分の面積の小数点以下がどうなっているかだけ見てください。募集図面が整数で、登記に小数点2けたが載っているなら、その差はまるごと切り捨てられています。0.9平方メートル近く落ちていることがあります。

数字を戻すだけなら費用はかかりません。仲介会社に「実数で載せてください」と伝えるだけです。マイソクの他の欄については募集図面(マイソク)でオーナーが必ず直させる7つの欄にまとめています。

条文は e-Gov 法令検索で確認した現行の不動産登記規則・建築基準法施行令、表示規約は不動産公正取引協議会連合会が公開している「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」(2022年9月1日付規約及び規則変更)によります。個々の物件でどう表示するかの最終的な判断は、取引にあたる宅地建物取引業者へご確認ください。

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