家賃滞納の対応は最初の1週間で決まる|築古アパートのオーナーがやる順番

結論からお伝えすると、家賃の滞納が起きた最初の1週間にやることは3つだけです。入金を正確に確かめる、やり取りを記録に残す、保証会社と契約書で期限を確認して連絡する。取り立ての工夫は要りません。むしろ鍵を替える、荷物を出す、貼り紙をするといった行為は、やってはいけないこととして最初に頭に入れておいてください。

5日の朝、通帳を記帳します。ほかの部屋は入っているのに、2階の1室だけ金額が見当たりません。夕方に電話をすると本人が出て、「すみません、今週中には必ず入れます」。ここで安心して何もしないでいると、翌週にまた同じ会話をすることになります。1か月後に振り返ったとき、いつ誰が何を言ったのかが手元に残っていない、という状態がいちばん困ります。

家賃の滞納が分かった最初の1週間にやることを6つ並べた図。入金を先に確かめる、やり取りを記録に残す、本人に連絡がつくか確かめる、保証会社の報告期限を見る、緊急連絡先の使いどころ、実力行使はしない。

なぜ最初の1週間が分かれ目になるのか

理由は2つあります。1つは、保証会社への報告に期限があること。もう1つは、あとで手続きに進む場合に、何をいつ伝えたかの記録が必要になることです。

この2つはどちらも、最初の1週間に手を動かしていないと取り返しがつきません。逆に言えば、入金の確認と記録さえきちんとしていれば、あとの選択肢は残ります。急いで相手を追い立てる必要はなく、順番どおりに手を動かすことが効きます。

1日目から3日目:入金を確かめて、記録を残す

「入っていない」と決める前に確認すること

  • 振込人の名義が本人と違っていないか(親族や勤務先の名義で入ることがあります)
  • 共益費や駐車場代だけが入っていて、家賃が抜けていないか
  • 金額が一部だけ、または端数が違っていないか
  • 土日や連休をはさんで、反映が翌営業日になっていないか
  • 口座やアプリを変更した直後で、別の口座に入っていないか

ここを飛ばして連絡すると、入っているのに催促した、という形になりかねません。まず通帳や明細で確定させます。複数の部屋の入金をまとめて見る仕組みがないと、毎月ここで時間を取られます。お金の流れの整理は満室なのにお金が残らない築古アパートもあわせてご覧ください。

記録に残すこと

  1. いつ(日付と、できれば時刻)
  2. 誰に(本人か、緊急連絡先か、保証人か)
  3. どの方法で(電話・郵便・メール・訪問)
  4. 何を伝えたか、何と言われたか(言葉のまま短く)
  5. 次はいつ、いくら入る約束になったか

ノートでも表計算でも構いません。あとから読んで時系列が追える形であることだけが条件です。この記録は、保証会社に出すときにも、弁護士に相談するときにも、そのまま材料になります。

3日目から7日目:連絡と、保証会社への報告

本人への連絡は、催促というより状況の確認として行います。「入金の確認が取れていないのですが、行き違いでしょうか」から入ると、事情が出てきやすくなります。体調や失職など、事情によってその後の進め方が変わります。

連絡は、常識的な時間帯に、方法を変えながら行います。深夜に何度もかける、勤務先に押しかける、近所や保証人に滞納の事実を言って回るといったやり方は、それ自体が問題になり得ます。緊急連絡先は、本人と連絡が取れないときや安否が心配なときに使うものだと考えてください。

そして保証会社です。加入している場合、報告の期限と、必要な書式が決まっていることがあります。遅れると対象から外れる扱いになる場合があるため、滞納が分かった時点で契約書と加入時の案内を開き、窓口に連絡します。範囲や手続きの考え方は家賃保証会社は築古物件でも使えるのかにまとめました。この記事は、その手前の「起きた直後の1週間」の話です。

やってはいけない4つのこと

ここがいちばん大事です。滞納があっても、オーナーが自分の判断で部屋を取り戻すことはできません。次の行為は違法と判断される可能性があり、損害賠償を求められることもあります。

  • 鍵を交換する、シリンダーを付け替える
  • 部屋に立ち入って家財を運び出す、処分する
  • 玄関や共用部に督促の貼り紙をする(第三者に知られる形にしない)
  • 電気・ガス・水道を止める

「契約書に書いてあるから大丈夫」と言われることもありますが、そうした条項が有効かどうかは別の判断になります。迷ったら実行する前に弁護士に相談してください。ここを踏み外すと、本来こちらに理がある話が逆転しかねません。

滞納が起きたときの分かれ道を左右で比べた図。やってはいけないこととして鍵の交換、家財の運び出し、督促の貼り紙、電気ガス水道の停止。先にやることとして入金の確定、時系列の記録、常識的な時間帯の連絡、保証会社の窓口と期限の確認。

1週間で片づかなかったら

入金も連絡もない場合、その先は書面での催告や契約の解除、明渡しの手続きという話になります。ただし、どの段階で何ができるのか、どれくらいの期間と費用がかかるのかは、契約の内容と個別の事情によって変わります。一般的な流れとして語られているものをそのまま当てはめないほうが安全です。保証会社に入っていれば窓口へ、入っていなければ弁護士へ。1週間ぶんの記録を持って相談すると、話が早く進みます。

まとめ

滞納は、入り口の条件でも変わります。誰に貸すかを決めてから募集する考え方は築古アパートは誰に貸すかに、賃料を動かす前の手順は家賃を下げる前に試す4つの手に書いています。埼玉・千葉県西部・栃木県南部の築古物件でも、最初の1週間の動き方は同じです。

今日やることを1つだけ選ぶなら、賃貸借契約書と保証会社の書類を出して、報告の期限がどこに書いてあるかを確かめることです。滞納が起きてから探すと間に合わないことがあります。なお、契約の解除や明渡しをはじめ法的な手続きの可否・期間・費用は事案ごとに異なりますので、実際の判断は弁護士にご相談ください。

Follow me!