「農薬として使用できない」除草剤は、アパートの植え込みには使えません|築古アパートのオーナーが雑草対策で見るラベルの1行
結論からお伝えすると、除草剤には「農薬登録のあるもの」と「農薬ではないもの」の2種類があり、アパートの植え込みや生垣の根元に使えるのは前者だけです。農林水産省は、登録のない除草剤を道路・駐車場・グラウンドなど、植物の栽培・管理の目的以外で使うものとし、それを樹木・芝・花きなどの栽培・管理に使うことは法律で禁止されていると説明しています。農薬取締法24条は、表示のある登録農薬などのほかは「何人も」使ってはならないと定め、違反には3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金の定めがあります(47条)。散布する前に、容器の裏の1行を見てください。
梅雨明けから放っておいた駐車場の端が、膝の高さまで緑になっています。入居者から「車のドアを開けると草が当たる」と連絡が来て、倉庫から前のオーナーが残した除草剤の大きなボトルを出してきました。駐車場の砂利の隙間だけでなく、入口の植え込みのツツジの根元にも草が伸びています。ついでにそこにもまこうとして、ボトルの裏を見ると、小さな字で「農薬として使用することができません」と書かれていました。

ラベルの1行で、2種類に分かれます
農林水産省の「除草剤の販売・使用について」は、見分け方を次のように示しています。
- 農薬登録のある除草剤…容器・包装に「農林水産省登録第○○○○○号」の記載がある。農作物や樹木・芝・花きなどの栽培・管理のために使うもので、家庭菜園やガーデニングも含まれる
- 農薬登録されていない除草剤…容器・包装と店舗の見やすい場所に「農薬として使用することができない」旨の記載がある。道路・駐車場・グラウンドなど、栽培・管理の目的以外で使うもの
この表示は販売する側の義務です。農薬取締法22条は、除草剤を販売する者に、容器か包装へ「当該除草剤を農薬として使用することができない旨の表示」をさせ、小売の店には店頭での表示も求めています。
アパートの敷地は、場所ごとに分けて考えます
- 駐車場・通路・建物の際の砂利の部分…植物を育てている場所ではないので、登録のない除草剤の用途に入ります
- 植え込み・生垣・芝の中の雑草…残したい植物を管理するための除草なので、登録のある除草剤で、その植物に使えると書かれたものを使います
- 入居者が借りている専用庭や、敷地の一角の家庭菜園…農作物のそばです。登録のない除草剤を持ち込まないでください
「非農耕地用」と書いてあれば、植え込みにも使えるのではないですか?
使えません。この誤解は国も把握していて、農林水産省は販売する側に、「非農耕地専用」という表現を使わないよう求めています。理由として、この表現が「農耕地でなければ使用することができる(例:公園、緑地等であれば植栽管理に用いることができる)」という誤解を与える事例が発生しているため、と書いています。畑かどうかではなく、残したい植物のための除草かどうかで分かれる、というのが国の説明です。

入居者のいる建物のまわりでまくとき
登録のある除草剤でも、どこでまいてもよいわけではありません。農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令6条は、住宅や学校、公園など人が居住し、滞在し、頻繁に訪れる施設の敷地と、それに近接する土地で農薬を使うときは、飛散を防ぐ措置を講じるよう努めることとしています。アパートの敷地はまさにここに入ります。
農林水産省と環境省の通知「住宅地等における農薬使用について」(平成25年4月26日)は、住宅地などでの防除について、病害虫や雑草の発生の有無にかかわらず定期的に散布することをやめ、機械除草などの物理的な方法で対応するよう最大限努めることを挙げています。先の農林水産省のページも、散布の前に周辺の住民へ使用の目的、散布日時、種類、使用者の連絡先を、時間に余裕をもって知らせるよう呼びかけています。
- 散布は無風か風の弱い日に…駐輪場や窓の近くでは特に
- 前もって掲示と各戸への案内…洗濯物を外に干す時間帯を避ける
- ペットを飼っている部屋・小さな子どものいる部屋…散布した日を個別に伝える
草刈りや共用部の清掃を誰の仕事にするかはアパートの草刈り・ゴミ置き場・共用清掃は誰がやるかに、刈った草や剪定枝の出し方はアパートの落ち葉と剪定枝は家庭ごみに出せないに書いています。草むらの中に蜂の巣を見つけたときは蜂の巣は許可なしで落とせて、卵やひなのいる鳥の巣は落とせませんを見てください。
都合の悪いことも書いておきます
除草剤を使わない方法は、どれも手間か費用がかかります。手で抜く、刈る、防草シートを敷いてその上に砂利を足す。どれも一度で終わりません。また、この記事は個別の製品がどの植物に使えるかを判定するものではありません。登録のある除草剤でも、使える植物・量・時期はラベルごとに違います。ラベルに書かれた使用方法を守ってください。判断に迷うときは、購入した店や都道府県の農業の担当窓口に相談できます。
今日やることを1つだけ選ぶなら
物置にある除草剤のボトルを全部出して、裏のラベルに「農林水産省登録第」とあるか、「農薬として使用することができない」とあるかを確かめてください。後者なら、油性ペンでキャップに「駐車場・通路だけ」と書いておく。管理を人に頼むときも、その1行で使い分けが伝わります。
出典
- 農薬取締法2条・22条・24条・47条(e-Gov 法令API・2026年9月26日時点)
- 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令6条(e-Gov 法令API・2026年9月26日時点)
- 農林水産省「除草剤の販売・使用について」
- 農林水産省消費・安全局長・環境省水・大気環境局長通知「住宅地等における農薬使用について」(平成25年4月26日 25消安第175号・環水大土発第1304261号)


