増築した部分の登記は、変更から1か月以内です|築古アパートのオーナーが未登記の部屋を見つけたときに分ける3つの話

結論からお伝えすると、建物を増築して床面積が変わったら、その変更の登記は変更があった日から1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法51条1項。怠ると10万円以下の過料=164条1項)。見落とされやすいのは2項で、未登記の増築がある建物を買ったり相続したりして登記名義人になった人にも、その登記があった日から1か月以内の申請義務が移ります。一方、固定資産税は登記とは別に動きます。市町村は、登記されていない家屋も課税台帳に登録して課税できますし(地方税法381条4項)、登記が事実と違って課税に支障があれば、登記所へ登記を促す申出ができます(同条7項)。

相続した築45年の木造アパートの登記事項証明書を取りました。床面積の欄は「1階 82.64平方メートル 2階 82.64平方メートル」。ところが現地で測ると、1階の奥に6畳ほどの部屋と、その横に物置が1つあります。固定資産税の課税明細書の床面積は、登記より11平方メートルほど広い数字でした。市は知っていて、登記簿だけが古いまま、という状態です。

増築・別棟の物置・買った人の義務・過料という、未登記の増築で変更の登記が要る場面をまとめた図

床面積も附属建物も、51条の「変更」に入ります

建物の表示の登記事項は、不動産登記法44条1項に並んでいます。51条1項は、そのうち家屋番号(2号)と共用部分である旨(6号)を除く事項に変更があったとき、1か月以内の変更の登記を求めています。

  • 44条1項3号…建物の種類、構造及び床面積
  • 44条1項5号…附属建物があるときは、その所在や種類、構造、床面積など

部屋を建て増した場合は3号の床面積が変わります。母屋とは別に物置や離れを建てた場合は、5号の附属建物として加える変更になることがあります。どちらも51条の対象です。物置が「建物」に当たるかどうかの考え方は、敷地に物置を置くときは、建築確認と固定資産税を別々に見ますに書いています。

未登記のまま買った人・相続した人にも、義務は移ります

51条2項は次のとおりです。

  • 51条2項…前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない

「増築したのは前の持ち主だから、自分には関係ない」は、この条文では通りません。相続の登記や売買の登記をした日から、新しい名義人の1か月が始まります。164条1項の過料の対象にも51条1項から4項までが含まれています。建物を取り壊したときの滅失登記も同じ1か月の線で、建物を取り壊したら滅失登記は1か月以内ですにまとめています。

固定資産税を払っているなら、登記はしなくてよいのですか?

別の話です。固定資産税の納税義務者は、登記簿または家屋補充課税台帳に所有者として登記・登録されている人です(地方税法343条2項)。市は自分で家屋を調べて評価しており、登記が古くても課税は止まりません。逆に、税金を払っていても、登記の義務が消えるわけではありません。課税明細書の床面積の欄の見方は固定資産税の課税明細書の見方は6つの欄からにあります。

法務局の登記と市の固定資産税の台帳が別に動くことを比べた図

困るのは、売るときと借りるときです

登記と現況が違うと、次の場面で止まりやすくなります。

  1. 売却…買主が融資を使う場合、登記と現況の食い違いを先に解消するよう求められることがある
  2. 借入れ…担保評価の前提がずれるので、金融機関から現況に合わせた登記を求められることがある
  3. 相続の分け方…未登記部分を誰がどう引き継ぐかを、遺産分割協議書に書き落とすことがある

築古で融資を受けるときに揃える資料は築30年を超えたアパートでも融資がつく条件に書いています。

登記の前に、建築確認の有無を分けて考えます

登記は「いまある建物」を記録するもので、その増築が建築基準法上適法だったかどうかは、登記では確かめられません。増築した年に確認済証と検査済証を取っているかは、市の建築指導の担当課で台帳を閲覧して確かめるのが一般的です。木造2階建てで確認が要る工事の線は木造2階建てのアパートは面積を問わず建築確認の対象ですを見てください。

都合の悪いことも書いておきます

変更の登記には、図面の作成と申請を土地家屋調査士に頼む費用がかかります。増築部分が建築基準法の手続きを経ていないと分かった場合、登記を整えても、そちらの問題は残ります。また、何十年も前の増築で、いつ増築したか分からないこともあります。過料が実際に科されるかは個別の判断で、この記事では断定できません。登記は土地家屋調査士に、建築の適法性は建築士か市の担当課に確かめてください。

今日やることを1つだけ選ぶなら

登記事項証明書の床面積と、今年の課税明細書の床面積を、1階・2階ごとに並べてください。数字が違えば、その差が未登記の部分です。差がある物件から、土地家屋調査士に見積りを頼んでください。

出典

  • 不動産登記法44条1項・51条・164条(e-Gov 法令API・2026年9月27日時点)
  • 地方税法343条・381条(e-Gov 法令API・2026年9月27日時点)

Follow me!