繁忙期を逃した築古アパートの募集を立て直す順番|家賃を下げるのは最後

3月末に退去の連絡が入り、原状回復が終わったのが5月の連休明け。募集をかけて3か月、内見は4件。8月に入って管理会社から「そろそろ家賃、5,000円下げませんか」と言われている——築古アパートのオーナーがいちばん相談を受ける形です。

結論からお伝えすると、繁忙期を逃した部屋で最初に動かすものは家賃ではありません。動く件数が減る時期であることは事実ですが、募集家賃の水準そのものは下がっていません。この記事では、閑散期のあいだに何をどの順番で立て直すと、秋と1月に間に合うのかを整理します。

「時期が悪いから下げるしかない」は本当か

アットホーム株式会社が2026年7月27日に公表した「2026年6月 全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」では、アパートについて次のように報告されています。

「アパートは、シングル向きが4カ月連続して全エリアで前年同月を上回る。同面積帯では前月同様13エリア中11エリアが2015年1月以降最高値となり、中でも東京23区は14カ月連続で最高値を更新した。」(出典:アットホーム株式会社「2026年6月 全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」2026年7月27日公表)

マンションについても、首都圏の全エリア(東京23区・東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県)を含む10エリアが全面積帯で前年同月を上回ったとされています。

つまり市況が下を向いているから決まらない、という説明は今の数字と合いません。減っているのは動く人の数であって、条件の水準ではありません。ここを取り違えると、下げなくてよかった家賃を下げて、そのまま次の入居者の契約年数ぶん受け取り続けることになります。

家賃を下げる前に試す手そのものは家賃を下げる前に試す4つの手にまとめました。この記事は、そのうち「時期を逃した部屋」でとくに効くものを順番に並べたものです。

繁忙期を逃したあとの立て直しの順番。公開中の募集内容を見る、写真を入れ替える、当日案内できる状態にする、初期費用や許可を緩める、最後に家賃を検討する。

立て直しの順番

1. いま出ている募集内容を、自分の目で見る

最初にやるのは撮影でも値付けでもなく、公開されている自分の部屋を見ることです。ポータルで検索して、一覧に出てくるところから見てください。

3か月前に出した内容が、そのまま残っていることがあります。「◯月上旬入居可」が過ぎている、写真が原状回復前のもの、設備欄に後から付けたエアコンが載っていない。掲載が古いまま止まっていると、動いていない部屋に見えます。直させる欄は募集図面(マイソク)でオーナーが必ず直させる7つの欄に一覧にしています。

2. 1枚目の写真を入れ替える

検索の一覧に出るのは1枚しかありません。閑散期は候補が絞られる時期なので、1枚目で外されると次の機会がありません。

撮り直しは、部屋の状態づくりが済んでからです。落とす場所は空室の掃除はどこまでやるかに、枚数と順番は募集写真は何枚・どの順番で載せるかにまとめました。ここは費用がほとんどかからないのに、いちばん後回しにされます。

3. 案内できる状態にしておく

閑散期は、問い合わせが入ってから案内までの時間が勝負になります。鍵が現地で回せるか、当日中に開けられるか。「明日でよければ」で1件落ちるのは、動きが少ない時期ほど痛手です。

仲介会社の店頭で即答してもらうために何を渡すかは、別の記事で整理しています。あわせて、内見にオーナーが出たほうがいいかどうかは内見にオーナーは立ち会うべきかを参照してください。

4. 条件は、家賃以外から緩める

ここまでやって動かなければ、条件を緩めます。順番があります。

  • 初期費用——礼金、鍵交換代、清掃費の負担。手元から出る金額が1回だけで済みます
  • フリーレント——1か月分の免除は、年間の手取りで見ると家賃を12分の1下げたのと同じです。ただし翌年以降の家賃は下がりません
  • 使い方の許可——二人入居可、ペット可、楽器の時間帯付き可。費用ゼロで客層が広がることがあります
  • 家賃——最後です。一度下げると、次の更新でも戻せません

家賃だけが、下げた影響が入居している間ずっと続く条件です。5,000円の値下げは、4年住んでもらえば24万円になります。同じ24万円を初期費用の免除やフリーレントに割り振れるなら、そちらのほうが戻せる形です。

戻せる条件と戻せない条件の比較。礼金や鍵交換代の負担、フリーレント、使い方の許可は次の募集で元に戻せるが、家賃の値下げは住んでいる間ずっと続く。

閑散期にしかできないこともある

動きが少ない時期は、工事を入れやすい時期でもあります。繁忙期の職人は予約が埋まっていて、1〜3月に頼むと着工が先になります。

秋から冬にかけて着工しておくと、1月の募集開始に間に合います。「決まらないから待つ」ではなく「決まりにくい時期に仕込む」に切り替えるほうが、次の繁忙期の勝ち目が上がります。どこから直すかの優先順位は、部屋ごとに違います。設備の入れ替えなのか、水回りなのか、共用部なのかは、内見のときに実際に何を言われたかで決めてください。

いつまで待てば「動かない」と判断していいのか

期限を決めずに待つと、判断そのものができなくなります。おすすめは「掲載の直しから4週間」です。掲載を直し、写真を入れ替え、案内できる状態にしたうえで4週間動かなければ、条件を緩める段階に進みます。

そのためには、退去から今日まで何日空いているのかを数えておく必要があります。数え方は退去のあと次の募集まで何日かかっているかにまとめました。「なんとなく長い」ではなく日数で持っていると、仲介会社との話し方も変わります。

数字の見かたについて一言

ここで引用した募集家賃の動向は、全国の主要13エリアを対象にした調査で、あなたの物件がある町の数字ではありません。また「募集家賃」は募集時に提示された金額で、実際に成約した金額とは別のものです。市況の向きを知る材料として使い、自分の部屋の値付けは近隣の同じ間取り・同じ築年の募集を実際に見て決めてください。

今日やることを1つだけ選ぶなら

ポータルサイトで自分の部屋を検索して、一覧に出てくる1枚目の写真と、入居可能日の欄を見てください。3か月前のまま止まっていたら、そこが最初に直すところです。家賃の話は、そのあとで構いません。

(本記事の募集家賃の動向は2026年7月27日公表の内容にもとづいています)

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